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世界の成人式 バンジージャンプの起源と言われる恐怖体験も

 日本ではすっかり「暴れる」のが定着した成人式だが、世界には命を賭けた儀式も少なくない。これからの成人式どうあるべきか。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が考えた。

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 今年の新成人は、およそ126万人。人口のちょうど1%ぐらいです。きっと今年も、全国各地から一部の新成人による狼藉が伝えられるでしょう。「近ごろの若いものは……」と眉をひそめて安っぽい満足感を得るのではなく、それはさておき広くあたたかい心でエールを贈るのが、大人の貫録であり余裕ってヤツです。

 今の日本では20歳が大人の入口ですが、40歳になっても50歳になっても、理想の大人への旅が終わるわけではありません。新成人のお手本となるべく、さらに「成長した大人」を目指してみましょう。大人になるノウハウを探るために、世界の「成人の儀式」を調べてみました。そのエッセンスを見習うことで、きっと大人力がアップするはずです。

 有名なのは、バヌアツ共和国の「ナゴール」という儀式。高さ30メートルの塔から足首に木のツルを巻きつけて飛び降りるというもので、バンジージャンプの起源と言われています。メキシコのベラクルス州でも、高さ30メートルの塔にのぼって、逆さにつるされたまま大きく回される儀式があるとか。久しぶりに遊園地の絶叫マシーンに乗って恐怖を味わった上で現実に戻れば、大人として何かを乗り越えた気分になれそうです。ま、うっかり童心に返ってしまう可能性もありますが。

 マサイ族の若者は、14,5歳になると生きたヤギを抱えてひとりでサバンナに出かけ、それを餌にライオンを仕留めると、成人として認められるそうです。日本には野生のライオンはいないので、いつもより多めの現金を懐に忍ばせて、サバンナの一種といえる都会の繁華街に繰り出しましょう。ライオンならぬプロの美女を仕留めることができたら、大人としての自信がつくこと間違いなし。あるいは、見積書を鞄に入れ、得意先というサバンナに乗り込んで契約を仕留める「ビジネス・バージョン」に挑んでみるのも一興です。

 日本でもかつて長崎県の一部には、首を絞めて一時気絶させるという青年の儀式がありました。ただ、これはよい大人はけっして真似しないでください。その代わりに、今やっている仕事に関して、上司や取引先に「もっと、こういうこともしたらどうでしょう」と新たな提案をどんどんぶつけるのがいいかも。結果的に自分で自分の首を絞めるという展開に持ち込めば、大人としてもビジネスマンとしても成長できるはずです。

 古くから日本で行なわれている成人の儀式といえば、髪を結ったり冠をつけたりする「元服」。江戸時代ごろになると貴族以外は簡略化されて、前髪を切り落とすぐらいになったとか。理容店に行って「前髪、短めに」とリクエストすることで、ひそかに元服気分をかみ締めましょう。周囲に「とっちゃん坊やみたい」と笑われたとしても、大丈夫です。「無礼者!」と一喝すれば、武士気分を味わえて元服効果がアップするに違いありません。

 大人への道のりは険しいですが、ピンとくるプランがあったら、ぜひお試しください。

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