何が起きているのか(左から伊勢ヶ濱親方、白鵬氏)
12月22日に発表された大相撲初場所(1月11日初日)の番付で、伊勢ヶ濱部屋に所属する力士9人が一斉に四股名を改名し、角界関係者の間で波紋が広がっている。伊勢ヶ濱部屋のホームページでも、「四股名変更のお知らせ」として変更した力士の新旧の四股名が並んでいる。伯乃富士に改名した伯桜鵬はじめ、9人のうち8人が2024年3月場所後に部屋の閉鎖に伴って伊勢ヶ濱部屋へ移籍した旧宮城野部屋の力士だった。相撲担当記者が言う。
「宮城野部屋は北青鵬が起こした暴力問題により部屋が閉鎖となり、所属者全員が一門の伊勢ヶ濱部屋に一時預かりというかたちで移籍となった。元横綱・白鵬の宮城野親方は部屋の再開が待ちきれず、2025年5月場所後に相撲協会を退職してしまったが、旧宮城野部屋の力士たちは“預かり弟子”という扱いではある。宮城野部屋が再興された場合、宮城野部屋に戻ると考えられていた」
その旧宮城野部屋の力士たちが揃って、伊勢ヶ濱部屋の力士が伝統的に四股名へ入れる「富士」がつく四股名に改名したわけだ。「天照鵬→三重ノ富士」「泉翔鵬→泉富士」といった具合に、旧宮城野部屋の力士が四股名に入れることが多かった「鵬」の文字が消えてしまったのだ。若手親方が言う。
「11月の九州場所前に『草野』が『義ノ富士』に改名した。本名からの改名は一般的だが、草野は学生横綱を獲得した日大時代に先代の宮城野親方(白鵬)にスカウトされた。日大にパイプがあったのと、部屋の川副が幼なじみという縁があったので宮城野部屋に入門する予定だったが、不祥事で閉鎖されたため伊勢ヶ濱部屋からのデビューとなった。初土俵から連続勝ち越し中で、毎場所自己最高位を更新中の期待の星。
『草野→義ノ富士』の改名は、伊勢ヶ濱親方(元横綱・照ノ富士)による囲い込みと見られていた。ただ、草野は入門のタイミングから“もともと伊勢ヶ濱部屋の力士”と判断することもできるが、旧宮城野部屋の力士が揃って『富士』がつく四股名に改名したのには驚いた」
