この二つを合わせると、処分者は1日平均で268人となる。いかに、党中央規律検査委が多数の敏腕取調官を抱えているとはいえ、これだけの数の党員・幹部の不正を捜査し、取り調べ、違反事例を確定させるには膨大な時間がかかることが予想される。
ところが、実態はそうではないらしい。取り調べの実態に詳しい北京のジャーナリストが明かす。
「腐敗捜査はまず容疑者ありきで、いったん当局の標的として狙われると、逃れるのは極めて困難だ。党幹部ならば、少なくとも1 、2件くらい汚職など腐敗事例に関わっていないわけはない。それを暴かれて、身の破滅を招くケースが多い」
いったん腐敗幹部の汚名を着せられると、党籍を剥奪され、監獄行きになるか、ならなくても、汚職幹部として名前が公表され、子供の進学や就職にも影響してくる。もちろん自身の生活も成り立たなくなり、離婚の憂き目や一族と絶縁状態になるケースも多い。このため、まだ容疑が確定していない取り調べの間に自殺し、刑の執行を逃れることで、自身の名誉や子供など親族を守ろうとする。
※SAPIO2015年2月号