ライフ

寒風が当たっただけでも激痛が走る「三叉神経痛」の恐ろしさ

 首から上の臓器の感覚を担っている神経は、左右12対ある。これらの神経は、両耳を繋いだ線の中間の奥深いところにある脳幹から出ている。その5番目の神経が三叉神経で、5~6ミリと最も太い神経だ。

 脳幹の一部の橋という部分から出た三叉神経は、耳の後ろ辺りで眉毛の上から額、鼻の脇から頬、顎と3つに分かれている。その三叉神経が血管に触れると、ショートする。神経はショートすると、微かな感覚でも神経全体が反応し、それが痛みとなって感じるようになる。これが三叉神経痛だ。日本医科大学付属病院脳神経外科の森田明夫教授の話。

「顔が急に痛くなる病気は、三叉神経痛以外にもあります。痛みのないときに顔が痺れていたり、痛みが持続する場合は、歯の病気や副鼻腔炎など他の病気のこともあります。若い方の場合は、群発頭痛や脳腫瘍などが隠れていることもあります。三叉神経痛であるかどうか、しっかりと確認する必要があります」

 三叉神経痛の検査は、MRIで脳内の血管を診て、血管が神経に触れてショートしている場所を探す。年齢が上がると、それまでまっすぐだった血管が曲がったり、ときにはとぐろを巻いて神経に触っていることもある。あるいは、ごく微かに神経を引き連れ炎症を起こしていることもあり、これが三叉神経痛の原因になっていることもある。

 三叉神経痛と診断された場合は、最初に薬物治療を行なう。神経の伝導を抑える薬として、てんかん治療薬のテグレトール(R)などの抗けいれん剤などが使われる。1錠100ミリグラムで激痛があっという間に解消することもある。しかし、時間の経過につれて効果が減少したり、多量に服用しないと効かなくなることもある。

 この病気は、寒さが厳しくなると血圧が上がり、症状が悪化することがある。また、血管の圧迫がひどくなり、神経を通り越してしまうことで症状がなくなることもある。まずは検査で、原因を特定することが治療の第一歩だ。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2015年1月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
東条英機・陸軍大将(時事通信フォト)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最低の軍人」ランキング ワースト1位はインパール作戦を強行した牟田口廉也・陸軍中将 東条英機・陸軍大将が2位に
週刊ポスト
昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト