芸能

逸見太郎 自宅で行った母の葬儀の詳細述懐、ケセラセラ流す

 人気パーソナリティーだった逸見政孝氏。突然のがん告白と、享年48というあまりにも早い急逝。残された妻・晴恵さん(享年61)は12億円とも言われた新居の総工費の借金を返す目的もあり、エッセイストとして原稿を書き、年間100本以上の講演をこなす忙しい日々を送っていた。息子の逸見太郎(42才)が、そんな母との最期の別れの時を語る。

 * * *
 父が逝った翌年、母ががんを患った(編集部注・初期の子宮頸がんに加え、血液細胞のがんのひとつである骨髄異形成症候群という難病も発症していた)と知ったのは、ぼくがアメリカの大学を卒業し帰国してからでした。高校から留学させてもらい家を空けていたし、母を大事にしたい思いもあって、一緒にいる時間を作るように心がけました。

 10月21日です。生放送の収録に向かう途中、病院から自宅にかかってきた電話はあまりにも突然でした。

「すぐ、来てください」
「すぐは無理です。どうしたんですか」
「お母さまが危ないんです」
「えっ、危ないって?」

 それは危篤を告げるもので、あわただしく応急処置をしている様子が、電話から伝わってきました。

 でもぼくは生放送が控えていた。とにかくスタジオに向かわなければならない。自宅を出ると東急大井町線に乗り、二子玉川駅で乗り換えの電車を待っているときでした。母親に付き添っていた妹の泣き崩れる声が、携帯電話から伝わってきて。

「放送が終わったら連絡する」

 ぼくは妹にそう伝え、携帯電話を切りました。暗くなってはいけない。不幸があったことを周りに気づかれないようにしなければと、自分に言い聞かせて、その日の本番をこなしました。本番終了後の連絡で、すでに病院を出て自宅に向かっていると告げられ、母の亡骸とは家で対面しました。

 悔しそうな死に顔だった。借金返済のめども立って、これからは悠々自適に人生を楽しむ夢を持っていました。病気だって治ると思っていたに違いありません。

「家からおくりたい」

 逸見政孝ではないのだから、マスコミにも知らせずに、ごく内輪で式を執り行いたい。今どき珍しい、家でのお葬式でしたが、ぼくの思いをみんなが酌んでくれました。近所には親戚もいましたし、ぼくの所属する事務所の社長も親身になってくれて、地元の葬儀屋さんへの連絡や、家から歩いて10分ほどの菩提寺への導師の手配等、お葬式の準備を手際よく整えてくれました。

 1階の8畳の和室に祭壇を設けて、スライド式のドアを外し、弔問客は中庭を通り、外から焼香ができるようにしました。

 黒い服が好きな母でしたから、旅立ちの衣装は黒を基調にしたコムデギャルソンを着せて、いつも髪を切ってもらっていた美容師さんに死に化粧を施してもらいました。祭壇は母好みの花を飾ろうと、華やかな赤いカサブランカにしました。

 100人ほどの弔問のお客さんは、近所に住む母の幼馴染や、学生時代の友人がほとんどでした。父のときとはまた違う温かさがありましたね。

 出棺の時は母らしいおくり方をしたい。焼香をしている時に、ふと母の好きな音楽をかけようと思ったんです。

「ドリス・デイの『ケセラセラ』を借りてきてくれないか」

 弔問に来た友人に頼みました。『ケセラセラ』は母が大好きだった曲だったんです。翌日、告別式の読経と焼香とぼくの弔辞が済み、出棺のとき、カセットレコーダーのスイッチをONにしました。『ケセラセラ』の軽快でどこか物悲しい曲が、母の棺の乗せた車を包んでいきました。

「ケセラセラ」=「なるようになるさ」

 母はこの言葉が好きでした。彼女の人生はなるようになったのだろうけど、もうちょっとこの世の中で夫婦ふたり、ゆっくりしてほしかった。

聞き手・文/根岸康雄

※女性セブン2015年1月29日号

関連記事

トピックス

6年ぶりに相撲の観戦をした愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
愛子さま、6年ぶりの相撲観戦で好角家の本領を発揮 星取表に勝敗を書き込み八角理事長にたびたび質問 結びの一番後は上位力士と懇談、“推し”はウクライナ出身の安青錦か 
女性セブン
33歳という若さで亡くなった韓国人女性インフルエンサー、ビョン・アヨンさん(Instagramより)
「何かを注射されたのでは」「発見時に下着が逆向きで…」カンボジアで起きた韓国人美女インフルエンサー殺害・死体遺棄事件【3年間も未解決の“闇”】
NEWSポストセブン
1月25日で観覧が終了となるシャオシャオとレイレイ(時事通信フォト)
【日中パンダ外交史】田中角栄政権“日中国交正常化”での初来日から半世紀あまり、パンダは日中関係のバロメーターだった 今後注目すべきは「新たなパンダが来るか来ないか」
週刊ポスト
フリースタイルスキー界のスター、アイリーン・グー選手(時事通信フォト)
〈完璧すぎる…〉雪の女王が「ビキニ一枚写真投稿」で話題に 22歳の谷愛凌選手、ミラノ冬季五輪へ スキー×学業×モデル“三刀流”の現在地
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
「400人以上が行方不明に」中国人美女(20)が変わり果てた姿で発見…韓国にも忍びよる“カンボジアの闇” インフルエンサーが発信していた“SOS”
NEWSポストセブン
茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された(知人提供)
《水戸市ネイリスト刺殺》「ぞろぞろ警察がきて朝から晩まで…」元交際相手の大内拓実容疑者(28)“逮捕前夜” 近隣住民の知人は「ヤンチャな子が集まってた」と証言
NEWSポストセブン
歌舞伎役者・中村鶴松(本名・清水大希)容疑者
《歌舞伎・中村鶴松が泥酔トイレ蹴りで逮捕》「うちじゃないです」問題起きたケバブ店も口をつぐんで…関係者が明かす“中村屋と浅草”ならではの事情
NEWSポストセブン
ブルックリン・ベッカムと、妻のニコラ・ペルツ(Instagramより)
《ベッカム家に泥沼お家騒動》長男ブルックリンが父母に絶縁宣言「一生忘れられない屈辱的な記憶」は結婚式で実母ヴィクトリアとの“強制ファーストダンス”、新婦は号泣
NEWSポストセブン
一般人を巻き込んだ過激な企画で知られるイギリス出身のインフルエンサーのボニー・ブルー(Instagramより)
「行為を終える前に準備」「ゴー、ゴー、ゴーです」金髪美女インフルエンサー(26)“12時間で1000人以上”を記録した“超スピード勝負な乱倫パーティー”の実態
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン