ライフ

近藤誠医師 日本の年間40万人の癌死の内大半が治療死と指摘

 日本人の死因の多くは「がん」によるものだが、その多くが「がんもどき」であるとし、『がん放置療法のすすめ―患者150人の証言』 (文春新書)などの著書がある医師・近藤誠氏が、がん治療の現状を解説する。

 * * *
 海外では最近、がん検診による“過剰診断”が問題になっている。米国の比較試験では、検診を受けた群の肺がん死亡者が未検診群を上回った。他の比較試験でもがん検診の有効性が否定されており、スイスやカナダなど、科学的知見から各種がん検診をとりやめる勧告を出した国も多い。

 ところが日本では病院、医師、医療機器メーカー、厚労省などが「がん検診・治療ワールド」を結成し、過剰診断で健康な人を「がん患者」に仕立てている。そして「がんもどき」を「治すべきがん」として、手術や治療など「医療介入」を始める。最大の問題は、その「がん治療」が患者の寿命を縮めることだ。

 たとえば手術と放射線治療で治療成績に差がない部位のがんでも、外科医は手術で切除したがる。しかし、人間に本来備わっている臓器を摘出すれば、当然患者の体全体に悪影響が生じる。手術によって患部の抵抗力が落ち、がん細胞が増殖する危険もある。

 抗がん剤もリスクだらけだ。急性白血病や悪性リンパ腫、小児がん、睾丸腫瘍、子宮絨毛がんは抗がん剤で治る可能性があるが、がんの9割を占める肺がん、胃がん、前立腺がん、乳がんなど固形がんに抗がん剤を投与すると、正常な細胞まで破壊する。吐き気、脱毛、食欲不振などの症状が出る他、最悪の場合は骨髄、循環器、消化器など生命にかかわる重要な生体機能を低下させ、患者を死に追いやる。

 日本の年間40万人近いがん死のうち、大半がそうした「治療死」と考えられる。つまり、がんが怖いのではなく、がんの治療とそれを行なう医者が怖いのである。

 多くの日本人はがんと診断されると思考が停止してしまい、医者の言いなりになりがちだ。がんと告げられれば大きなショックを受けるだろうが、患者は自分でできるだけ正確な情報を集め、押し寄せる不安には知性と理性を用いて対抗してほしい。

※SAPIO2015年2月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

再選を確実とし、あいさつする小川晶氏(時事通信フォト)
《ラブホ通い詰め問題》「1日100人に謝罪&挨拶」「ポエティックなインスタ投稿」で小川晶氏が前橋市長に返り咲き、支援者は「皮肉だけど、山本一太さんに感謝状を渡したい(笑)」
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
《クスリ漬けか…との声も》ギャル系美女が映っていた“異様な監視カメラ映像”とは》「薬物を過剰摂取し、足も不自由で、死んでしまう…」中国インフルエンサー(20)の住居の管理人が証言
NEWSポストセブン
100円ショップ(写真提供/イメージマート)
《100円という呪縛》物価上昇と円安に苦しむ100円ショップ 「一度100円と思い込まれたものを値上げするのは難しい」と店主が嘆く
NEWSポストセブン
木原龍一、三浦璃来(写真/AFLO)
【ミラノ・コルティナ冬季五輪】小塚崇彦さんが解説するフィギュアスケート日本代表の強さ 世界王者「りくりゅう」だけじゃない「史上最強の代表陣」
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
「クスリを支配の道具に」「行為中に使う客層も…」変わり果てた中国人美女インフルエンサーが保護されたシアヌークビル、専門家が語る現地アングラ界隈のリアル
NEWSポストセブン
沖縄県警の警察官が、「ガサ(家宅捜索)」に入った女性の勤務先に押しかけるという事案が発生(左/共同通信社)
《「恋した」「すっぴんがかわいい」と…》沖縄県警捜査員が“ヤミ金事件”捜査女性の勤務先に押しかけ、迫って、批判殺到 “パスポートを押収し、逆らえない状況でエイサーに誘った”
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈自慢のロングヘアがボサボサに…〉中国美女インフルエンサー(20)、精神に異常をきたして路上生活…母親が電話で抱いた疑念「話し方を指示されているのでは」【高給求めてカンボジアに渡航も】
NEWSポストセブン
月9ドラマ『絶対零度』で主演を務めた沢口靖子
《60歳とは信じられない美姿勢》沢口靖子、“本人も継続を断念”した『科捜研の女』完結後は…各局が熱視線を送る理由
NEWSポストセブン
秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《不敬どころの騒ぎじゃない》秋篠宮家・佳子さまも被害に…AIを用いた性的画像の被害が世界的問題に 専門家が指摘「男女問わず人権侵害」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《もう家族でハワイに行けない…》“1.5億円の脱税疑惑”の宮崎麗果、“ESTA取得困難”で恒例の「セレブ旅行」は断念か SNSで「深い反省」示す
NEWSポストセブン
元旦に離婚を発表した吉岡美穂とIZAM(左・時事通信フォト)
《3児の母・吉岡美穂がIZAMと離婚》夫のために「“鬼嫁キャラ”を受け入れた妻の想い」離縁後の元夫婦の現在
NEWSポストセブン
2026年1月2日、皇居で行われた「新年一般参賀」での佳子さま(時事通信フォト)
《礼装では珍しい》佳子さまが新年一般参賀で着用、ウエストまわりに“ガーリー”なワンポイント 愛子さまは「正統的なリンクコーデ」を披露
NEWSポストセブン