国内

人質事件 野党やメディアが政権批判できぬなら大政翼賛体制

 イスラム国が湯川遥菜氏と後藤健二氏を人質として拘束した事件は最悪の結果を迎えたが、政府の対応をめぐり、野党は池内沙織・共産党代議士のツイート炎上をきっかけに沈黙した。

 池内氏が人質事件での首相の対応に「こんなにも許せないと心の底から思った政権はない。『ゴンゴドウダン』などと、壊れたテープレコーダーの様に繰り返し、国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権」などとツイートすると、「首相に責任を負わせるばかりでイスラム国批判がない」といった反論で炎上した。

 人質事件はイスラム国が日本に仕掛けたテロ行為であり、最も憎むべき「悪」はイスラム国側であることは議論の余地がない。

 しかし、だからといって野党やジャーナリストまで政権批判を許されないなら、それは言論の自由なき大政翼賛体制である。日本政府が国民の生命を守ることに全力を挙げて取り組んできたかどうかを検証することこそ野党とジャーナリズムの国民に対する責任ではないのか。

 批判におののき、共産党の志位和夫・委員長が「今あのような形で発信することは不適切だ」と池内氏を注意して全面謝罪させたことは、原理原則を重んじる同党にしては驚くべき“物わかりの良さ”である。

 他の野党はもっとひどい。民主党の岡田克也代表は「政府の足を引っ張るな」と党内に発言の自粛を指示し、それでも民主党の各議員から首相批判が上がると、今度は大メディアがここぞとばかりに「民主まるで“学級崩壊”」(産経新聞)と攻撃材料にした。

 批判が稚拙だと指摘するならばまだわかるが、実際に起きたのは安倍政権の対応を批判する者に「テロ擁護」のレッテルを貼って、“非国民”扱いするという光景だった。

「言論の府」のはずの国会では、魔女狩りを恐れて民主党から共産党までものがいえなくなり、安倍批判がほとんど消えた。

※週刊ポスト2015年2月13日号

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