韓国内では、慰安婦問題に関する記述は李氏による朴槿恵・現大統領へのあてつけだとする見方もある。産経新聞ソウル駐在論説委員の黒田勝弘氏がいう。
「政権与党には李派と朴派の派閥争いがある。だから、回顧録の記述は『私は慰安婦問題ではここまでやったが、朴槿恵は何もしていない。外交を知っているのか』という批判の意図もあるとみられています」
結局、朴政権の反日外交を煽ることになる。2011年12月にソウルの日本大使館前に慰安婦支援団体が設置した慰安婦像に関しても、李氏は自身の功績として誇っている。野田前首相が2011年12月の首脳会談で早急な撤去を求めた際に、李氏はこう答えたと記している。
〈日本政府が誠意を見せない限り、ソウルの銅像に続いて、おばあさんたちが亡くなるたびに第2、第3の銅像が次から次へと建てられるでしょう〉
さらに〈野田が(当初の議題であった経済・安全保障協力)関連の話を持ち出しても、慰安婦の問題に集中して話をした。このような私の態度に野田も少なからず驚いた様子だった〉と武勇伝風に書いているが、首脳会議の場でそんな対応をされたら誰だって驚くだろう。
大前提として、「慰安婦像は許可なく歩道上に建てられた違法建造物である」(前出・西岡氏)ことを指摘しておきたい。
※週刊ポスト2015年2月20日号