黒田総裁は、原油価格が急落した昨年10月、「原油価格の下落は、物価の下押し要因。デフレ脱却が遅れるのを未然に防ぐ」と追加金融緩和を発表した。原油安で物価が下がれば2%のインフレ目標の達成が困難になるため、金融緩和でさらなる円安に誘導して物価を上げようというのである。
日本経済が原油安→物価下落→実質賃金増加→消費回復というアベノミクスと正反対のメカニズムで自然に上向こうとしている時に、「原油安のメリット」を打ち消す馬鹿がどこにいるのか。自分たちの面子のために国民生活を破壊するのだから、アベコベノミクスというほかない。
黒田総裁は国会答弁でインフレ目標の達成期限が遅れるという言い方でアベノミクス失敗を渋々認めたが、それでも「目標を修正するつもりはない」と円安・インフレ政策を押し通す姿勢を変えようとはしない。
※週刊ポスト2015年2月27日号