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ヤマト運輸役員「サービス残業の黙認は会社にとってリスク」

 日々取扱い量が増える日本の宅配業界だが、業界を牽引してきたのが、最大手のヤマト運輸であることは間違いない。しかし、その盟主もまた、急成長に伴う「痛み」に苦しんでいる。ジャーナリストの横田増生氏がレポートする。

 * * *
 ヤマト運輸では、社員ごとに〈勤怠確認リスト〉という表がある。リストは「交番計画」(労働計画)と「PP(ポータブル・ポス)入力実績」(労働者がPP端末に入力した労働時間)、それに「勤怠登録」(実際の給与が支払われる時間)と「修正」の四項目からなる。

 ドライバーが業務を終えてPP端末を終了する際、「あなたの就業時間は、〈交番計画〉通りでしたか?」という確認の画面が現れる。「はい」と押せば修正の欄には何も現れない。

 金井は社内のプレッシャーから、また、近藤はセンター長という立場から、〈交番計画〉通りではなかったのにもかかわらず「はい」と押している。そのため記録の上ではサービス残業を確認することはできない。

 しかし、首都圏で一〇年以上働く野口真一=仮名の二〇一四年の前半の某月の〈勤怠確認リスト〉では、二一日の出勤日のうち、一一日分に「修正」の欄に「**」がついていた。野口は、PP端末を終了する際に、「いいえ」と押して、その後に、正しい労働時間を一五分刻みで入力している。その上でその自己申告した労働時間を、上司が申告より短い時間に変更すると修正の欄に「**」の印がつく。野口の場合、休憩を一五分や三〇分としているのに、給与に反映される勤怠登録では一時間に書き換わっている。

 しかし、同社の〈勤怠確認リスト〉の確認欄に「**」がついているのは、ドライバーだけにとどまらない。

 首都圏の支店で一〇年ほど内勤として働く野村直子=仮名の二〇一四年の前半の一カ月の〈勤怠確認リスト〉では、一四日の出勤日のうち、一一日分に「修正」の欄に「**」がついていた。

「内勤の主な仕事は、破損事故やクレームなどの電話処理で、午後からのお問い合わせが圧倒的に多いので、一時間の休憩がとれないのです」

 休憩がとれていないと入力しているにもかかわらず、勤怠登録では一時間の休憩をとったことになっているからだ。

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