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中国・李克強首相の弟 次官級幹部に昇進も貧乏くじとの声も

 李克強中国首相の弟、李克明氏が2月中旬、国有重点大型企業監事会主席に任命され、次官級幹部に昇進した。李氏は、これまで12年近く国家タバコ専売局副局長を務めていた。それ以前にも1986年から1994年まで8年間、故郷・安徽省のタバコ専売局でキャリアを積んでおり、30年近くタバコ専売一筋だった。

 しかし、最近は国際的にも禁煙の風潮が強まっていることから、「首相の弟」として新たな重責を担うことになったとみられるものの、大型国有企業は「腐敗の巣窟」ともいわれ、このところ経済界を中心に腐敗摘発が強化されているだけに、「貧乏くじを引いた」との指摘も出ている。

 李克明氏は1957年生まれの57歳で、李克強氏とは2つ違い。二人の父親の李奉三氏は、安徽省鳳陽県の県長を務め、安徽省政府の地方志弁公室副主任を最後に引退しており、典型的な地方幹部。

 小さいころから「神童」と呼ばれるほど頭脳明晰だった李克強氏とは違い、李克明氏は学業的にも目立ったところはなく、父親同様、平凡な地方幹部を務めていた。

 ところが、李克強氏が青年幹部のエリートである共産主義青年団(共青団)のトップや河南省長など最高幹部に駆け上がっていったことから、李克明氏も2003年に北京の国家タバコ専売局に栄転することになったとみられる。

 さらに、李克強氏が2013年春、首相に就任するに及んで、李克明氏は今回、次官級に昇進するとの人事上の配慮が働いたもようだ。

 李克明氏の新ポストである国有重点大型企業監事会主席は、国有企業のなかでも、エネルギーや軍需、食糧、金融など国家にとって重要な企業の国有資産を管理・保護する政府機関。このところの経済自由化の流れのなかで、社会主義的な計画経済はなりを潜め、資本的主義的な手法が幅を利かせており、自然に国有資産と自由経済によって得た利潤の区別がつかなくなり、従来の国有資産が流動化しているのが実態だ。

 企業によっては、同委に秘密で、国有資産を売却し、操業資金に転用したり、幹部の懐に入っているもの少なくないといわれ、これらの国有企業は腐敗の温床になりやすいのが実態。

 それだけに、ネット上では「習近平国家主席がライバルの李克強氏の弟、李克明氏を難しいポジションに就けて、李克強氏の足下をすくおうとしているのでは…」との書き込みも出ている。

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