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日本代表監督候補ハリルホジッチ氏 オシム氏同様走り求める

 サッカー日本代表監督人事にようやく“ゴール”が見えてきた。2月下旬、最有力候補として報じられたのがヴァヒド・ハリルホジッチ氏だ。

 1952年ボスニア・ヘルツェゴビナ生まれの62歳。イビチャ・オシム元日本代表監督と同郷で親交も深い。現役時代はFWとしてフランスのパリSGなどで活躍したほか、1982年W杯にユーゴスラビア代表として出場した。

 1987年に現役を引退した後は指導者に転身。フランスの名門・リール時代は年間最優秀監督に選出されたこともある。

 2008年にはコートジボワール代表監督に就任。2014年のブラジルW杯ではアルジェリア代表監督として同国を初のベスト16まで導いた。

 華々しい経歴の持ち主だが、彼の身体に刻まれているのは栄光の歴史だけではない。同氏が20年以上を過ごしたフランスのスポーツ誌記者が語る。

「ハリルホジッチ氏は1992~1995年のボスニア紛争で、自宅のほか、経営していた喫茶店や洋服店などをすべて失いました」

 ボスニアの古都・モスタルは戦火により中心部の多くが焼失した。そこにあった同氏の2000万フラン(約3億円)相当の資産も、戦争により失われたのだ。

「そればかりか、自身も銃撃されて下腹部を負傷しています。紛争中には妻子と離れ離れになったほか、紛争後は無職の時期を経験するなど辛酸をなめています」(同前)

 厳しい紛争をくぐり抜け、死に直面した経験を持つハリルホジッチ氏だけに、戦術もタフなものになるのか。「サッカーキング」統括編集長の岩本義弘氏はこう分析する。

「オシム元監督と同じく、よく走ることを選手に求める監督です。決して強豪ではないアルジェリア代表を率いてW杯出場を果たしたときには、戦術の引き出しの多さに驚きました。

 過去の試合を見ると、スピードとスタミナを活かした攻撃的なサッカーをする印象です。人事面でも妥協を許さない人物として知られており、2018年のロシアW杯を目標に代表メンバーも相当刷新されることになるのではないでしょうか」

 サッカー協会は遅くとも6月に始まるロシアW杯2次予選は新体制で臨むことを目指している。下馬評通り“ハリル・ジャパン”が誕生すれば、メンバーの顔ぶれも大きく変わりそうだ。

※週刊ポスト2015年3月13日号

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