白石興二郎・読売新聞グループ本社社長は「読売の販売現場の一部で、行き過ぎた販売活動による迷惑をかけたとすればお詫びしたい」と謝罪した。一連のキャンペーンが“現場の暴走”だったかはともかく、その現場では早くからこれはチャンスどころか「新聞の危機」という実感があったようだ。別の若手読売社員がいう。
 
「もともと現場の士気は低かった。“朝日の読者が購読を止めたからといって、読売にすぐさま乗り換えるなんて甘い話はない”という意見が大勢でした」
 
 読売新聞は部数減について、「消費増税やスマホ・ネットの普及による活字離れなど複合的な要因が重なったため」(グループ本社広報部)としたうえで、「朝日誤報問題をパンフレット、書籍等で積極的に報じてきたのは広く問題の重要性を伝えるためです。(A紙プロジェクトという名の)計画を立てて販促活動を行なった事実はない」(同)と説明した。
 
 東京大学新聞研究所教授、立正大学文学部教授などを歴任したマスコミ研究者の桂敬一氏が指摘する。
 
「読売のネガティブキャンペーンは、朝日のみならず、新聞業界全体への不信感を煽る逆効果になってしまった。またABC部数は販売店に届けた部数の調査であり実売数ではないので、朝日も読売も実際はもっと深刻なダメージを受けているはず。信頼回復にはこつこつとジャーナリズムの本道を進むしかない」
 
 ジャーナリズムの世界に甘い近道などないのだ。

※週刊ポスト2015年3月20日号

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