結局、その予約は成立しなかったというが、「今年は状況によっては中国語の案内なども考えないといけない」(同前)とする。靖国神社で中国人観光客が大宴会という奇異な光景が見られるかもしれないのだ。ジャーナリスト・富坂聰氏はこういう。
「中国では日本のようにそこかしこに桜が咲いているわけでもなく、日本のように桜の下で飲み食いをする風習はありませんから、これまでは日本の桜の名所でも歩いて写真を撮るだけで終わっていたのでしょう。
ただ中国の場合、酒席となると周囲の人を気にせず大声で話すスタイルが浸透しています。花見で酒を飲むという日本の風習を知り、花見酒を楽しむ観光客が一気に増えるとも考えられます。
そうなれば、騒々しいと苦情を受けるケースや場所取りという概念を知らないので、あらかじめシートで仕切られた他人の場所に入ってしまうトラブルが頻出するでしょう」
そうした事態に備え、靖国神社ではどのような対策を取っているのか。広報課はこう答えた。
「枝を折ってはいけないなどの禁止事項や注意事項は日本語以外に英語と中国語、韓国語の三か国語で境内に表記してあります。花見の時期に限らず、常時掲示してあります。
これまでは、中国人観光客の大きなトラブルなどは聞いたことがありませんし、今年も何か特別な態勢を取るといったことは予定していません」
※週刊ポスト2015年3月27日号