ビジネス

小国・オランダが農業輸出大国になるためにした3つの改革とは

 オランダは、九州くらいの大きさの小国でありながらアメリカに次ぐ世界2位の農業輸出国である。なぜ、オランダは農業輸出大国になれたのか、大前研一氏が解説する。

 * * *
 オランダは国土面積が日本の九州と同じくらいの小国でありながら、付加価値(=競争力)の高い「クオリティ農業」によってアメリカに次ぐ世界第2位の約10兆円もの“農業輸出大国”になっている(日本の農業輸出額は約4000億円でしかない)。なぜ、オランダは農業輸出大国になれたのか? 農業の競争力を強化するために三つのシフトを断行したからである。

 一つ目は「自由化」だ。農業保護をやめるとともに、農業・自然・食品安全省(日本で言えば農林水産省)を解体して経済省(日本で言えば経済産業省)に統合し、農業部、酪農部、水産部という三つの部局にしたのである。農業も産業だ、と考えれば当然のことだが、日本の現状からはかなりぶっ飛んだ発想だ。

 二つ目は前回も少し触れた「選択と集中」だ。高付加価値の施設園芸にフォーカスし、農地を集約したのである。今ではトマト、パプリカ、キュウリの3品目で栽培面積の8割を占め、農業の経営体数も1980年の1万5700社から2010年の時点で7100社に半減している。

 三つ目は「イノベーション」だ。ITを活用したスマートアグリを展開すると同時に、ワーヘニンゲン大学(オランダにおける農業分野の研究教育の中心)を中核とした「フードバレー」と呼ばれる農業と食品の産業クラスター(集団)を形成し、多様な研究・事業化プログラムを推進している。

 シリコンバレーならぬフードバレーには食品関連企業約1400社、科学関連企業約70社、研究者約1万人が集結し、日本からもキッコーマンや日本水産、サントリーなどが進出している。

 その結果、オランダ農業は特定産品で際立った強みを持つようになった。主な農産物の輸出上位国を見ると、ボリューム型の小麦やトウモロコシ、大豆などはアメリカ、カナダ、ブラジル、アルゼンチンなどの広大な農地を生かして規模を追求する国が上位を占めているのに対し、付加価値を追求するクオリティ農業ではオランダがジャガイモと花卉(かき)類で世界第1位、トマトでメキシコに次いで世界第2位になっているのだ。

※週刊ポスト2015年4月3日号

トピックス

「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
受賞者のうち、一際注目を集めたのがシドニー・スウィーニー(インスタグラムより)
「使用済みのお風呂の水を使った商品を販売」アメリカ人気若手女優(28)、レッドカーペットで“丸出し姿”に賛否集まる 「汚い男子たち」に呼びかける広告で注目
NEWSポストセブン
新関脇・安青錦にインタビュー
【独占告白】ウクライナ出身の新関脇・安青錦、大関昇進に意欲満々「三賞では満足はしていない。全部勝てば優勝できる」 若隆景の取り口を参考にさらなる高みへ
週刊ポスト
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン