長崎県佐世保市にあるテーマパーク・ハウステンボス。澤田秀雄氏がこのテーマパークの社長に就任して、今年で5年目となる。創業以来18期連続の赤字だった同社の再建に着手し、わずか1年で黒字化を成し遂げた。営業利益は四期連続二桁の伸びを見せ、いまや同社は、氏が会長を務める親会社・H.I.Sの利益の6割を稼ぎ出す存在となっている。
だが、澤田氏は満足するどころか、今年1月には世界一生産性の高いスマートホテルの7月開業を発表した。その名も、「変なホテル」。次なる澤田改革の構想をノンフィクションライターの稲泉連氏が聞き、次世代の観光産業を読み解いた。
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「再建は終わった。これからは第二段階に入るんです」
澤田秀雄氏が月の半分を過ごすハウステンボスを訪れると、彼は裡に秘めた好奇心を抑えられないといった様子で目を輝かせた。
事業再建のため、10年間の約束で佐世保市から支給されていた再生支援交付金も5年前倒して前期で終了になった。自力で利益を生み出せる体制を確立したからだ。
「そこで次に僕らが取り掛かるのは、これまで着々と準備をしてきたハウステンボスの『観光ビジネス都市構想』の具体化です。今年はその記念すべき初年度だと言えるでしょう」