有価証券報告書によれば、朝日新聞グループの事業の柱は大きく分けて「新聞出版事業」、「賃貸事業」、「その他の事業」の3つ。2014年3月期の売上高は、新聞出版事業は前期比1%減の4380億円。営業利益も23%減の66億円と減収減益だった。一方の賃貸事業の売上高は17%増の165億円、営業利益も16%増の27億円。
賃貸事業は売り上げこそ本業の4%程度だが、利益は本業の40%も稼いでいる。
コストパフォーマンスもすこぶる良い。新聞出版事業には正社員、臨時社員など合わせて7373人いるが、賃貸事業はわずか128人。社員1人当たりの利益は、本業が約90万円なのに対し、賃貸事業は約2100万円になる。
2014年下期の部数が前年比5.87%減の約710万部と低迷する中、これだけオイシイ商売なのだから歴史ある創業の地であっても丸ごと1棟不動産ビジネスを始めようというのはうなずける。朝日新聞は、ホテル建設についてこう話す。
「旧ビルが築50年を迎え老朽化したため建て替えることになりました。事業のスキーム等は関係者と詰めている段階です」(広報部)
前出の朝日関係者がいう。
「ツインタワー建設はリーマンショック後の不動産不況のなかで進められ、“賭け”といわれた。結果的にはアベノミクスにより不動産が高騰したおかげで利益が出た。紙面では安倍政権を批判しますが、会社の経営は安倍さんに足を向けて寝られない状態です」
※週刊ポスト2015年4月24日号