芸能

武田梨奈&春日太一対談【1/3】千葉真一と武田の共通点とは

春日太一氏との対談に臨んだ新進女優・武田梨奈

 クレディセゾンのテレビCMで披露した「頭突き瓦割り」で一躍注目を浴びた新進女優・武田梨奈(23)は、特技の空手を活かしたアクションで映画を中心に活躍の場を広げている。そんな彼女が「最近読んだ中で一番感動した本」と語るのが、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が上梓した『役者は一日にしてならず』(小学館刊)だ。「週刊ポスト」で春日氏が連載するベテラン俳優インタビューに大幅な加筆をした同著は、武田にとってこれからの役者生活の指針になる内容だったという。この本をきっかけに武田と春日氏の対談が実現した。ロング対談全3回のうち、第1回をお届けする。

春日:武田さんのツイッターをフォローさせていただいているのですが、「アクションというのは、実は絡みの人たち、周囲の人たちに助けられて自分はやれているんだ」という内容を呟かれたのを目にしまして。これって『役者は一日にしてならず』の中で松方弘樹さんなど時代劇役者の人たちが「実は時代劇というのは殺陣の相手役、斬られる側(絡み)が大事なんだ」とおっしゃっていたことに通じるなと思ったんです。

 その人たちと同じ意識とか感覚を、武田さんは持っている。すごく高い意識でこの人はアクションをやっている、と。自分が目立つためであったりとか、自分が目立てばいいという意識の人たちは少なくない。でも、そうじゃなくて、ちゃんとそういうところまで目が行き届いてアクションをやっている人ってすごいなと思って。それが武田さんと対談をやらせてもらいたいと思うきっかけでした。「絡みが大事だ」と気づいた瞬間ってあったんですか。

武田:私、ずっと空手をやっていたんですけど、それはやっぱり個人競技で。アクションの現場はそれと違って、「信頼関係ができていないと本当に危険だな」と感じました。絡みの方だったり、アクション部の方たちって、「女優さんだから」とすごく気を使われるんです。ケガしないようにって。

 でも私は、全部、吹きかえなしでやっていきたいんです。絡みの方々は、「こういうふうにやりたいんです」と自分から主張したら、それを全部踏まえた上でいろいろとアクションを作ってくださる。そういうのを経験して、やっぱり一人じゃ何もできないなと感じたんです。

春日:なるほど。自分でアイデアを出しているからこそ、感じるところがあるわけですね。

武田:そうですね。「こういうアクションをやりたい」というのは一応言わせてもらっています。個人的に、かっこよすぎるアクションというのが好きではなくて。女性がバタバタと男性を倒していくというのはよくあるんですけど、私はどちらかというと、やられる方をやりたくて。

春日:へえ。そうなんですね。

武田:女優さんがキックやパンチをしたりして、かっこよく映るのは私じゃなくてもできると思うんです。ですけど、女優さんがボコボコにされて、スタントをいっぱいやってっていうのは私にしかできないな、と。なので、そっちをやりたいですというのは常にいろんな現場で言っていますね。

春日:受ける側に回りたい、と。

武田:スタントマンの方たちを見ていても、「やられ」のほうが技術が要るなというのを感じます。体を張っているというか。その方たちがいないと私たちはかっこよく映らないじゃないですか。

春日:おっしゃることが千葉真一さんと通じる気がします。

武田:春日さんの『役者は一日にしてならず』の中で、千葉真一さんが「日本はお金もないし、アメリカに負けている」っておっしゃっていたじゃないですか。私も今、すごくそれを感じています。千葉さんの時代は千葉さんや志穂美悦子さんとか、いろんな方が日本のアクションや時代劇を盛り上げてくださった。でも、平成のこの時代ってそういう人がいない。私は千葉さんみたいに新しい時代をつくっていきたいなって感じています。

春日:かっこいい! 今、京都の撮影所では時代劇の若いスタッフたちがとにかくみんな口をそろえて「武田さんと仕事したい」って言うんですよ。

武田:えーっ、うれしいです。すごくうれしい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン