芸能

吉田美和 50才記念ライブの裏に夫との死別と新たな決意あり

ハワイで50才記念ライブを行った吉田美和

 ハワイ・ホノルルから西に車で約1時間。ハワイ語で「喜びの結晶」という意味の「コオリナ」と名づけられたこの場所は、古代ハワイアンの王族たちが保養地として使い、強力なパワースポットも多く存在する。なかでも北西の地域は、「天国と大地が出合う場所」と呼ばれている──。

 5月6日(日本時間7日)、『Dreams Come True』(以下、ドリカム)のボーカル・吉田美和の50才を祝うスペシャルライブがコオリナで開催された。このハワイライブの話が持ち上がったのは、昨年末のことだった。

「吉田さんとスタッフが“50才の誕生日をどう過ごすか”と話していたときに、“ハワイでのんびり”という案が出たのがきっかけでした。ただ、のんびりするだけじゃ物足りないから、“じゃあ、ついでにライブもやっちゃいましょう!”ってなったんです。でも、吉田さんは真剣でかなり気合が入っていて、現地でも入念にリハーサルを繰り返していました。なぜなら、この場所でライブをすることが、吉田さんにとって大きな意味を持っていたからなんです」(音楽関係者)

『うれしい!たのしい!大好き!』、『未来予想図II』など、リアルな心情を描いた楽曲が多くの女性から支持されトップアーティストへと駆け上がっていった吉田。そんな彼女の隣にはひとりの男性が寄り添っていた。2003年1月に半同棲熱愛が報じられた、9才年下の映像ディレクター・末田健さん(享年33)だ。

 2003年4月、末田さんの離婚が成立すると、翌2004年5月、吉田はファンクラブのホームページで末田さんとの“結婚”をこう発表した。

《籍を入れるわけでもないし、でも心意気は「共に白髪が生えるまで」だからさっ!》

 ところが“白髪”を待たずしてふたりは引き裂かれることになる。体調不良を理由に2007年3月に映像制作会社を退社した末田さんの体は、胚細胞腫瘍という病魔に蝕まれていた。頭痛や意識障害、嘔吐といった症状を訴える末田さんのため、吉田は自宅に医療機器を設置して必死の看病に努めた。

 しかし病状はみるみる悪化し、同年8月に緊急入院。同時期に全国ツアーを予定していた吉田の頭には、「中止」の2文字もよぎったが、病床の末田さんから「ツアー楽しみにしているよ」「頑張ってきて」と背中を押されたことで開催を決意した。

 病室とコンサート会場を往復する不眠不休の状態ながら、2007年9月23日、吉田はツアーをやりとげた。最終公演後にはその足で病院に向かい、つきっきりの看病を続けた。しかし3日後の9月26日、吉田に見守られながら末田さんは息をひきとった。病院の廊下には、別れを受け入れられない吉田の絶叫が響きわたったという。

 彼の死から約3か月後、吉田はレコーディングスタジオに姿を現すようになった。

「メソメソしていても彼は喜ばないし、歌っている私が好きだと思うから。歌えるってすごいことだと思うもん」

 彼女が立ち直れたのは、現在の夫で『FUZZY CONTROL』のボーカル&ギター・JUON(30才)との出会いがあったからだった。

 周囲から“音楽バカ”と呼ばれ、自身の体験や身の回りに起こったことをなんでも歌にしてしまう音楽に対する彼のまっすぐな姿勢は、吉田に「私は歌うために生まれてきた」ということを再び思い出させてくれた。そして一緒に作り上げたのが、『その先へ』という曲だった。

《人生の意味なんて知らない 開き直りでも何でもいい 眠れない夜の 悲しみの海の 出口の見えない暗闇の その先へ》

 そんな歌詞は、末田さんとの悲しい別れを乗り越え、JUONとともに生きていこうとする吉田の決意だったのかもしれない。

 そして2012年3月、吉田はJUONと入籍したことを発表した。当時JUONはバンドのホームページでこう誓った。

《全身全霊を賭けて彼女を守り幸せにします。見ていて下さい》

 それはまるで、末田さんとの男同士の約束でもあるかのようだった。そしてJUONはその言葉通り、公私にわたって吉田を支え続け、今回のハワイライブでも同じステージに立ち、彼女と一緒に『その先へ』を歌った。

 ライブ後、吉田は自身の家族とJUON、そして彼の家族を集めた食事の場で、こう感謝の言葉を贈ったという。

「二度と歌えないと思ったけど、皆さんの支えのお陰でまたステージに立てました。ありがとう」

※女性セブン2015年5月28日号

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