ライフ

日本酒がファン層拡大に成功 「苦手食材」ないことが大きい

食前食中食後、なんにでも合う日本酒

 今、また何度目かの日本酒ブームである。いやブームという一過性のものではなく、本格的な日本酒時代の幕開けといってもいいかもしれない。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 過去に何度か「空前の日本酒ブーム」という見出しがメディアをにぎわせたことがある。1970年代、新潟の「越乃寒梅」が幻の酒として人気になり、以降長きにわたってその流れを汲んだ”淡麗辛口”の冷酒が日本酒の主流となった。その後、人気マンガ『美味しんぼ』などの影響もあって、「吟醸」「山廃」「純米」といった特徴のはっきりした日本酒が人気になった。しかし、バブル崩壊以降、消費の冷え込みなどもあって、日本酒は壁を越えられずにいた。

 そんな日本酒人気が、戦後何度目かのブームを越えてようやく大きなうねりになろうとしている。酒類全体の売上が低下するなか、日本酒は売上を伸ばしている。今年、人気グルメ雑誌『dancyu』は、定期刊行雑誌としては異例の2号連続日本酒特集号を組んだ。日本酒関連の書籍も人気となっていて、昨年11月に刊行された『白熱日本酒教室』という日本酒入門書は発売直後から版を重ね、現在3刷となっている。

 なぜいま日本酒なのか。その理由として主に挙げられるのが「多様な味わい」「どんな食べ物にも合う懐の深さ」「食前、食中、食後を選ばない」といった日本酒の特徴だ。

 現在の日本酒は驚くほど多様だ。まるでシャンパンのように発泡する”スパークリング日本酒”が人気となっている。12~14度という低めのアルコール度数の日本酒も好評を博している。手はかかるが、味わい際立つ”生酛造り”を復活させる蔵元も増えた。意欲的な蔵が醸造技術や知見を積み重ねることで、現代の日本酒は「酸味」や「フルーティさ」など、特徴的な味わいを獲得し、ファン層の拡大に成功している。

「合わせ」の範囲の広さも日本酒ならでは。世界に冠たる食中酒、ワインですら含まれる鉄分が魚介類の脂質の酸化を促し、不快な臭い成分を発生させることがある。貝類など、合わせるのが難しい”苦手食材”があるほどだ。だが日本酒にはそこまで苦手な相手がいない。前項で触れたように近年、日本酒の味わいがさらに多様になったことで、フレンチや中華との合わせも一般的になってきた。それは替えの効かない新たなマリアージュの発見でもある。

トピックス

群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
審査員として厳しく丁寧な講評をしていた粗品(THE W公式Xより)
《「脳みそが足りてへん」と酷評も》粗品、女性芸人たちへの辛口審査に賛否 臨床心理士が注目した番組冒頭での発言「女やから…」
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情