いま中国の若者たちが日本のものでもっとも憧れているのは、制服だという。『「ニッポン大好き」の秘密を解く』(中公新書ラクレ)を出版したジャーナリストの中島恵氏が、皆が制服を着ている日本の様子に中国人が憧れる理由を解説する。
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一般的な中国の学校の制服は、いわゆる“ジャージ”。動きやすい上に、価格が安いので、どの階層の家庭でも買うことができる。しかし、とても見た目が可愛いとはいえない。だから、日本を旅行したことのある学生や、ネットで日本の制服を知った若者たちはみんな日本の制服に憧れるのだ。
「あんな可愛い服が着られて本当に羨ましい。アニメで見たことがある制服そのものです。私たち中国の学生は、1日中地味なジャージで過ごすんですよ」
春節に両親と一緒に訪日した女子高生の言葉だ。また、制服は「可愛い」というだけでなく、きちんとした感じがあり、統一感があることも中国人にとっては印象的だ。
「制服って高いでしょ? 小学生のランドセルだって5万円くらいするのに、日本の子供たちはみんなそれを当たり前のように持っていますよね。そんな光景は貧富の差が激しい中国では絶対に見られませんよ」と、個人旅行で来た30代男性。
「学生なのに、みんなが高価で品質の高いものを同じように持っていて……」
そんな日本人の生活は、中国人旅行者から羨望の眼差しで見られている。
※SAPIO2015年6月号