かつてダイエーの争奪戦に名乗りを挙げ、西友の最大のターゲットと見られていたこともあったが、あっけなくイオングループに持っていかれてしまった。
「ウォルマートは買収企業で大規模なリストラをしたり、取引先を変更したりするなど、従来の商慣習を無視した改革を断行するため、日本の小売業オーナーでもウォルマート流に強いアレルギーを持つ人は多い。イオンのダイエー買収は、そんな強烈な改革でかき回され、歴史あるスーパーを外資の手に渡らないようにするための『防衛策』でもあった」(業界関係者)
西友にとって逃した魚は大きかったわけだが、引き続きM&Aによる規模拡大は狙っていくのか。
「既存店舗の改装や不採算店の閉鎖、ネットスーパー事業の強化など、いまの西友は高収益体質になるべくスクラップアンドビルドを続けていますが、M&Aも決して諦めているわけではないでしょう。
主要なスーパーはすべてイオンかセブン&アイの傘下に入っているので、残るは地方で業績の振るわない中規模スーパーか、万年不況で苦しんでいるホームセンターなどが狙い目。特にホームセンターは店舗が大きく加工食品を扱っているところも多いので、ウォルマート流に展開させるには最適といえます」(鈴木氏)
5月12日、西友では4年ぶりの日本人トップとなる上垣内猛CEOが誕生した。同氏は外資系日用品メーカー・ユニリーバの日本法人社長を務めた経歴を持つ。外資仕込みのドラスチック経営で、“ウォルマートジャパン”のブランド力をどこまで高めることができるか。