投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月8日~6月12日のドル・円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル・円は強含みか。16-17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ決定への思惑が残されており、ドル買いが優勢となる可能性がある。中東やウクライナにおける地政学的リスクが増大した場合やギリシャのデフォルト(債務不履行)への懸念が高まった場合、リスク回避の円買い圧力が強まる可能性がある。
しかしながら、円高局面では本邦機関投資家による外貨建て資産投資に絡んだドル買いが着実に入ることが予想されており、ドルが大きく売られる可能性は低いとみられる。
【米国下院での大統領貿易促進権限(TPA)法案採決】
オバマ米大統領に環太平洋経済連携協定(TPP)の早期妥結のための大統領貿易促進権限(TPA)を与える法案は、上院で可決された後、下院で審議されている。ライアン下院予算委員長は法案成立へ自信を示しているものの、民主党議員などの反対により、成立するかどうか予断を許さない状況となっているようだ。
ただし、TPA法案が米国議会で可決された場合、TPP交渉が進展することで、ドル高・円安要因となるとの見方が多い。
【米国の雇用関連指標】
8日には19の雇用関連指標で構成される米国4月の労働市場情勢指数(LMCI)が発表され、9日にはイエレンFRB議長が「イエレン・ダッシュボード」で注視している9つの雇用関連指標の内4つが含まれている米国3月の求人労働異動調査(JOLT)が発表される。
米国の5月の雇用統計次第だが、6月16-17日のFOMCでの利上げの可能性を見極めることになる。
【米国の5月の小売売上高】(11日)
米国の5月の小売売上高は、前月比+1.1%と予想されており、4月の0.0%からの増加が見込まれている。米国の4-6月期の国内総生産(GDP)の算出に使用されるコア小売売上高(自動車、ガソリンスタンドの売上、建材を除く)にも注目することになる。
6月8日-12日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。