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自転車摘発「飲んだ帰りに捕まるの割に合わん」と50代会社員

 いつも通り会社の前に自転車を止めようとしたら、警察官に声をかけられる。
 
「今、歩行者の間をすり抜けましたね。ここ、歩道なんですよ。身分証を拝見できますか」
 
 車道から会社までわずか数メートルの歩道でも、自転車から降りて歩かなければ「摘発」される可能性がある。
 
 改正道路交通法が1日施行され、14歳以上の運転者を対象に、信号無視や歩道で歩行者を妨害するなど14項目の違反行為を繰り返すと安全講習の受講義務が課されることになった(3時間、5700円)。3年以内に2回以上の違反で受講命令が出され、3か月以内に受講しないと5万円以下の罰金が科される。
 
 摘発の対象となる危険行為は従来の道交法でも禁止されていたものばかりだが、軽微な違反で「これまでは見逃してもらっていたから大丈夫」と思っていたり、何が違反なのかを知らなかったりする人もいて、早速摘発者が続出している。自転車活用推進研究会の事務局長・内海潤氏が話す。
 
「自転車は道交法で『軽車両』なので歩道は走行できない。やむを得ないケースでも徐行しなければダメ。歩行者にベルを鳴らすことや歩行者間のすり抜けなども歩道での安全運転義務違反になります」
 
 スマホの“ながら運転”や、飲酒運転などは、事故を起こさなくても危険だと警察官が判断すれば取り締まりの対象だ。
 
 マナーの悪い自転車にヒヤッとしたことのある人は多いだろう。道を我が者顔で走る自転車に対し、規制が入ること自体は喜ばしい。だが、一方で「取り締まりに不公平感が出そう」という声がある。
 
「違法なのはわかっているが、ちょっと近所まで飲みに行って、誰もいない深夜の道を数百メートル走るだけでも捕まるのは割に合わない。そういう自転車は取り締まりやすいだろうが、例えば道を猛スピードで走るスポーツサイクルなどは“逃げてしまえば終わり”にならないか。車の駐車違反と同じく不公平だ」(50代会社員)
 
 警察庁によれば、「明らかに危険な違反行為は即摘発となるが、基本的には現場の警察官の判断」だという。当面は違反行為にカウントされず警告を受けるだけで済むケースが多いようだが、この「不公平感」の解消は今後の課題だろう。
 
 交通ジャーナリストの今井亮一氏は別の問題を指摘する。
 
「新制度を導入した以上、講習対象者を摘発する努力目標が警察官に課せられ、“ノルマ”達成のために取り締まりが強化される可能性がある。また、将来的には警察官の違反現認だけで違反金を徴収できる制度が、導入される可能性も否定できません」
 
 講習の講師も警察の有力な天下り先になるはずだ。歩行者の安全確保を名目とした警察の利権拡大にならぬよう注視が必要だ。

※週刊ポスト2015年6月19日号

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