ビジネス

「太鼓の達人」 新入社員の企画が却下されるも復活した理由

「ガンプラ」(ガンダムのプラモデル)で知られるバンダイと、1980年代に一世を風靡したゲーム「パックマン」などで知られるナムコが2005年に経営統合して生まれた、バンダイナムコホールディングス。

 社長の石川祝男氏は、ナムコ時代に大ヒットアーケードゲーム「ワニワニパニック」を生み出した名開発者だ。ノンフィクション作家の杉山隆男氏が、企画をヒットさせる秘訣を石川氏に聞いた。

 * * *
 大ヒットゲーム「ワニワニパニック」の開発にあたり、石川氏がはじめに掲げたコンセプトは、「一世を風靡した『モグラたたき』を超えるもの」だった。

 すぐ企画書にまとめて上司に提出するも却下。だが、「イケるという確信がありました」と語る石川氏は諦めない。

 その日の午後には、ワニの形をしたスリッパを買ってきて、段ボールでワニが出てくる穴をつくり、部長の前でBGMを歌いながら、自ら「ワニワニパニック」になりきってみせたという。

「大ヒットは、いいねという人が1人か2人くらいのものの中から生まれる」と話す石川氏は、他社がヒットさせて、のちの「音ゲーブーム」をつくり出したダンスゲームを引き合いに出した。

(以下、一問一答)

石川:あれ、実はナムコの企画の中に似たようなものがあったんですが、却下されてるんですよ。企画が出たとき、10人中7人は、人が見ている前で踊るゲームが流行るわけない、場所もとるし、恥ずかしがるから誰もやらないって。もう既成概念以外の何ものでもないですよね。

──逃がした魚は大きかった。

石川:それはあります。言い訳するわけじゃないけど、ボツにしたのはたまたま私のチームじゃなくて。でも、あのときやっておけばよかったなってのはあります。

〈ゲームの企画は、多数決で決めていいものと、そうではないものの2つがあると石川氏はいう。問題は、少数意見の中から何を拾うかという見極めだという〉

石川:結局は、企画者の思い入れの強さです。簡単に諦めるようでは大したことないんでしょうから。

 大ヒットした「太鼓の達人」なんか、まだ新入社員くらいの若手が企画を出したけど、音ゲーは他にいっぱいあるのに、同じようなもの出しても駄目じゃないかって却下されたんです。

 でも諦めきれず、仲間とこっそり試作機まで作って、当時常務だった私のところに、「ぜひやってください」って直訴に来たんです。そういうのを拾って、チャンスを与えることが大事だと、あれからずっと思ってます。

──ゲームメーカーにとって一番大切なのは人間だと。

石川:音楽でも映像でも、われわれエンターテインメント企業は、最初は一人のアイディアだったり発想や思いで、それに賛同する人が増えて強いエネルギーになって、最終的には製品化されるわけです。やっぱり一人の思い、個の力の集合体なんです。

※週刊ポスト2015年6月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

法定スピード以上の速度で突っ込んだ(時事通信)
《独自》内閣府公用車の9人死傷暴走事故 委託先は2年前にも永田町で公用車ひき逃げ死亡事故 運営会社と内閣府が「間違いございません」と事実関係を認める
NEWSポストセブン
「日本学術振興会賞」と「日本学士院学術奨励賞」の授賞式に出席された秋篠宮ご夫妻(2026年2月3日、撮影/JMPA)
《上品な艶がドレッシー》紀子さまの授賞式ファッション ライトブルーのセットアップで親しみやすさを演出、同系色のブローチも
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《司忍組長、84歳の誕生日会に密着》胡蝶蘭、鯛、枡酒にコンパニオンが大挙 警察、メディアが関心を寄せる「山口組重要文書」の存在
NEWSポストセブン
晩餐会での“少女漫画のようなエスコート”動画が話題に(提供:soya0801_mlb)
《独占入手》妻・真美子さんの手を優しく取って…大谷翔平、晩餐会での“少女漫画のようなエスコート”動画が話題に ファンに伝えた「ありがとう」
NEWSポストセブン
目撃者が語った“凄惨な事故現場”とは(左/時事通信フォト、右/共同通信)
「『死んじゃうよー』公用車の運転手がうめき声を…」「官僚2人は後ろでグッタリ」公用車が130キロで死傷事故、目撃者が語った“凄惨な事故現場”【高市首相、腹心の官僚】
NEWSポストセブン
若い女性たちとエプスタイン(民主党資料より)
「ひとりで楽しみ、体に触り、無理やり行為に及んだ」10代の少女らが性的搾取された“エプスタイン事件” 米司法省が新たに公開、画像や動画…300万枚の資料が示す“被害の詳細”
NEWSポストセブン
CanCam卒の注目女優宮本茉由
《CanCamモデルを卒業》不倫ドラマ主演でも話題・宮本茉由、長野県・北アルプスの麓で見せた「止まらない色気」
週刊ポスト
ラオジーのブログより(現在は削除済み)
《昨夜の子は何歳だったんだ…との投稿も》「ラオスの帝王ラオジー」ブログの不正開設の疑いで61歳の男が逮捕 専門家が明かしたラオス児童買春のいま
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン