投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月22日~6月26日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は上げ渋る展開となりそうだ。日本と米国のインフレ率の低迷が予想されていること、ギリシャの債務協議が決裂し、デフォルト(債務不履行)懸念やユーロ圏離脱などの警戒感が高まっている。リスク選好的なドル買いは、やや抑制されるとの見方が多いようだ。
米国議会での貿易促進権限(TPA)法案の成立が先送りされた場合、中東やウクライナの地政学的リスクが緊迫化した場合、ギリシャのデフォルト懸念が高まった場合などは、リスク回避の円買い圧力が強まることが予想される。
しかしながら、本邦機関投資家による外債投資などに絡んだドル買いが増える可能性があるため、ドルが大きく売られる可能性は低いとみられている。
【ユーロ圏緊急首脳会議】(22日)
ユーロ圏緊急首脳会議では、30日に期限を迎えるギリシャ救済策の期限や国際通貨基金(IMF)へのギリシャの債務返済期限に向けて、最終的な決断が警戒されている。ギリシャ政府の要請は、債務削減や救済策の6カ月程度の再延長であり、国際債権団の要請は、融資条件の順守となる。
リスクシナリオとして、ギリシャのデフォルトやユーロ圏からの離脱の場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
【米国の5月のコアインフレ率】(25日)
米国の5月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比+1.2%と予想されており、4月の+1.2%と変わらずと見込まれている。予想通りならば、米国連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標+2.0%に対して、「合理的な確信」が生じる水準ではないため、ドル売り要因となる。
【日本の5月のコアインフレ率】(26日)
日本の5月のコアインフレ率は、前年比0.0%と予想されており、4月の+0.3%からの低下が見込まれている。予想通りならば、日本銀行のインフレ目標+2.0%を大幅に下回る水準となることで、追加緩和の可能性が高まることになる。
【黒田日銀総裁の円安牽制発言と環太平洋経済連携協定(TPP)】
アベノミクス「3本の矢」の「第1の矢(金融緩和政策)」の射手である黒田東彦日銀総裁が円安牽制発言をした理由は、「第3の矢(成長戦略)」の柱である環太平洋経済連携協定(TPP)の早期合意に向けて、米国議会でのTPA法案の成立を促進することが挙げられる。今週は、米国上院でTPAが再可決されるか否かを見極めることになる。
6月22日-26日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。