国内

「橋下氏は国政口出し役所には顔出さへん」と維新議員呆れる

 住民投票により大阪都構想が否決されたのが5月17日。公約通り政界引退を表明し、翌日からツイッターの更新を止めていた橋下徹・大阪市長が、再び“橋下節”を連投し始めたのは、安倍晋三首相との会談が行なわれた6月14日の深夜(明けて15日)だった。

 政界引退を表明しておきながら、首相・官房長官との会談となるとホイホイ上京した橋下氏。同席した松井一郎・府知事によると「国政への期待感」を示されたというから、テンションが上がったのだろう。15日から16日にかけて47回も怒濤のツイートを繰り広げた。その内容が露骨な自民すり寄りだから気持ち悪い。

 たとえば、安保法制を巡る違憲問題について、〈憲法学者の意見は傾聴に値する。しかし日本国における有権解釈者ではない〉〈内閣における憲法の有権解釈者は内閣総理大臣。憲法解釈が時代とともに変遷するのは当然のこと〉と自民党を援護射撃。

 さらに、安倍首相と同じく砂川事件を持ち出し、〈民主党議員や憲法学者は砂川事件判決は集団的自衛権を認めていない!と主張するが論理がおかしい。国連憲章上、集団的自衛権は国家固有の権利。そして砂川事件判決は日本国の自衛権を認めている〉と持論を展開した。

 同時に〈民主党という政党は日本の国にとってよくない〉〈維新の党は民主党とは一線を画すべき〉と民主党批判も始めた。維新と民主の連携を阻止したい安倍首相の思惑にまんまと乗ったわけだ。

 維新所属の地方議員が呆れ顔でいう。

「国政に口出すのもいいけど、最近は役所に顔を出さへんようになった。6月8日の週は水曜日以外は公務日程がなく“週休6日”。市が抱える問題は都構想だけではありません。市営地下鉄、水道、ゴミ収集事業の民営化、府立大学と市立大学の統合などあげればキリがない。せやけど、橋下さんはもう市政に興味がありませんねん」

 大阪市政をウォッチし続けているジャーナリストの大谷昭宏氏もこういう。

「橋下さんは市政に関心を失い、国政進出に舵を切ったと考えられます。私は彼との付き合いが古いからわかりますが、安倍首相との会談やツイッターへの投稿は、すべて“政治家を辞めるのはもったいない”というラブコールを周囲から引き出すための行動でしょう。市長の任期切れ(12月18日)まであと半年間、大阪市政はレームダック(死に体)化しますよ」

 大阪市民は安保法制のために橋下氏を市長にしたわけではない。

※週刊ポスト2015年7月3日号

関連キーワード

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン