ソフトバンクのロナルド・フィッシャー取締役(67)は17億9100万円の報酬を得るが、副会長を務める同社傘下の米携帯電話大手スプリントなどの報酬が11億円ほど含まれるため、田邊氏の報酬が現在も単独企業ではトップといえる。
「僕は14億円が高いとは全然思っていません。社長に就任してからの40年近くで売り上げを10倍に伸ばし、とくに近年は海外のお得意さんをたくさん掴んできた。僕はずいぶん前から海外に行って工場を作り、現地の人たちとコネクションを広げてきたんです。その結果、昨年には世界中の自動車メーカーと取引できるようになった」
1978年11月期の同社の売上高は約140億円だった。2012年11月期と比べても売上高は2.5倍に増えている。
「役員報酬は、個人としてどれだけ会社に貢献したかで判断されるべき。社長ではなく常務が貢献したのなら、常務の報酬が一番高くていい。アメリカに行けば、経営の専門家としての腕がある人で、僕の10倍くらいもらっている人だっていますよ」
6月19日には、ソフトバンクが昨年9月に米グーグルから招いたニケシュ・アローラ氏(47)に、前期は165億円超の報酬(うち146億円が入社に伴う一時金)を支払ったことが明らかになった。
同氏は孫正義社長が「最重要の後継候補」とする人物で、その報酬額は2013年にアメリカの経営者で最も報酬が多かったオラクルのラリー・エリクソンCEO(当時)の約96億円を上回った。「経営のプロ」であればそうした巨額の報酬を受け取っても問題ないと田邊氏はいうのだ。
※週刊ポスト2015年7月10日号