その衝撃は“ヤクザ業界”全体に広がっている。いままで全国の暴力団にとって、工藤會捜査は「対岸の火事」だった。凶悪犯罪が福岡で多発し、工藤會は日本で唯一、暴力的な要求行為などがあれば「中止命令」なしに即時の組員逮捕が可能な「特定危険指定暴力団」に指定されている。一般市民に牙を剥かず、暴力団同士の抗争も避ける平和外交路線を浸透させてきた山口組など他の組織からすれば異質な存在である。

 ところが、野村総裁の脱税摘発は、「上納金」という配下の組織から吸い上げたカネを「個人の収益」と見なして立件した。山口組系組織の幹部が率直に漏らす。

「これはマズい、となったわけや。警察も国税も『ヤクザのカネには手をつけん』という不文律が崩れた。口座や金庫にあるカネが組織の資金と認定されると、それは即ち組長のカネといわれかねない。さっそく、六代目山口組の執行部は弁護士先生と対応策を協議したようや」

 現段階では福岡県警は組織のカネをすべてトップ(野村総裁)個人のカネと見ているわけではない。

 2013年までの4年間で、工藤會の上納金は年間約2億4000万円、計約10億円に達していた。毎日新聞(6月17日付)によると、工藤會は組員をAランク(ひとり当たり月20万円)、Bランク(15万円)、Cランク(5万円)の3段階に分けて上納金を集めていたという。

 その約10億円のうち、工藤會の金庫番である山中政吉幹部(64・所得税法違反容疑で逮捕)のメモをもとに、野村総裁が自由に使っている「個人のカネ」を特定。それが約2億2700万円で、税務申告していないことから所得隠しと認定し、約8800万円の脱税の疑いがあるとした。

※週刊ポスト2015年7月10日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン