中国企業相手のビジネスが増える中、多くの日本企業が中国人採用に積極的だ。海外で働こうとする中国人は英語も堪能で、優秀な人材が多い。しかし、どうしても障壁となるのが日本と中国の文化の違いだ。中国と関連の深い商社の中堅社員も苦い顔だ。
「新しく入った中国人社員が部下になったが、扱いが本当に難しい。ほとんど敬語は使わないし、ろくに成果も挙げてないのに『給料を上げろ』と文句をいってくる。
ある中国人社員なんて、2月の春節(中国の旧正月)になると勝手に仕事を休んで帰国してしまった。日本人ではありえない言動に困っている」
そんな中国人とどう付き合えばいいのか。『中国との付き合い方はベトナムに学べ』(SB新書)の著書がある専門商社・アドバンストマテリアルジャパンの中村繁夫・社長は、面子を気にする中国人の性格をうまく利用すべきだという。
「人口が13億人を超える中国は日本人の想像を絶するような競争社会。彼らは日々を生き抜くため、仲間の足を引っ張ってでも自分が前に出よう、評価されようとする。
そこで、『私は優れているから給料を上げろ』と主張する彼らの声には耳を貸さず、『他の社員からの君の評判が悪い』と話すんです。日本の若手社員だったら落ち込んでしまいそうな言葉ですが、面子を気にする中国人にはこうした“第三者の声”が一番響く。
事実を率直に伝えて焦らせるのが効果的なんです。でも、アフターケアが肝心。『私は君のことを守る、心配するな』とフォローすれば信頼も得られる」
※週刊ポスト2015年8月14日号