スポーツ

プロレスラーの噛みつき攻撃 老人6人がTV中継見て死亡した

 ジャイアント馬場とアントニオ猪木、ふたりのスーパースターの活躍を軸として日本プロレスの軌跡を振り返る、ライターの斎藤文彦氏による週刊ポストでの連載「我が青春のプロレス ~馬場と猪木の50年戦記~」。今回は、猪木が『ワールド大リーグ戦』に初出場した昭和37年の第4回大会で、悪役レスラーとして活躍したフレッド・ブラッシーが世間に与えた衝撃についてお届けする。

 * * *
 アントニオ猪木が『ワールド大リーグ戦』に初出場したのは、昭和37年の第4回大会。

 猪木はキャリア2年、19歳の新人で、リングネームは猪木完至(本名・寛至)。前年の昭和36年7月にアメリカ武者修行に出発したジャイアント馬場は、米東部エリアをツアー中だった。

『第4回ワールド――』は外国人選手の顔ぶれ、カード編成、話題性などあらゆる面で“史上空前”のシリーズ興行といわれた。

 参加外国人選手はルー・テーズ、フレッド・ブラッシー、ディック・ハットンの元世界ヘビー級王者3選手をはじめ、マイク・シャープ、キラー・バディ・オースチンら全10選手。

 シリーズ前半戦、神戸大会のメインイベントとして行なわれた力道山&豊登&グレート東郷対テーズ&ブラッシー&シャープの6人タッグマッチでは、ブラッシーの噛みつき攻撃で東郷が額から大流血(4月27日=神戸・王子体育館)。

 この試合をテレビの生中継で観ていた名古屋、京都、岐阜などの老人6人が、急に気分が悪くなり、心臓発作を起こすなどで死亡。

 このニュースはマスコミに大きく報じられ、番組スポンサーの三菱電機と民放連がプロレス中継の制作方針を協議し、スタートしたばかりのカラー放送を急遽、モノクロに変更。テレビ視聴者の“ショック死事件”が社会問題となった。

 猪木は同リーグ戦でテーズ、ブラッシー、ハットンら“雲の上の存在”といっていい世界のスーパースターと対戦。リーグ戦の戦績は7戦0勝7敗だった。

■斎藤文彦(さいとう ふみひこ)/1962年東京都生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学学術院スポーツ科学研究科修了。コラムニスト、プロレス・ライター。専修大学などで非常勤講師を務める。『みんなのプロレス』『ボーイズはボーイズ――とっておきのプロレスリング・コラム』など著作多数。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

関連キーワード

トピックス

気持ちの変化が仕事への取り組み方にも影響していた小室圭さん
《小室圭さんの献身》出産した眞子さんのために「日本食を扱うネットスーパー」をフル活用「勤務先は福利厚生が充実」で万全フォロー
NEWSポストセブン
副作用でEDリスクのある薬(イメージ)
《副作用を知らずに服用しているケースも》“飲み続けるとEDになるリスクがある”97の薬の実名リスト 降圧剤、糖尿病、胃薬、解熱鎮痛薬など
週刊ポスト
“極秘出産”していた眞子さんと佳子さま
《眞子さんがNYで極秘出産》佳子さまが「姉のセットアップ」「緑のブローチ」着用で示した“姉妹の絆” 出産した姉に思いを馳せて…
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《日本中のヤクザが横浜に》稲川会・清田総裁の「会葬」に密着 六代目山口組・司忍組長、工藤會トップが参列 内堀会長が警察に伝えた「ひと言」
NEWSポストセブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン