ビジネス

【ドル円週間見通し】米利上げ時期9月から後退の見方強まる

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が8月24日~8月28日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円はもみ合いか。中国本土株の下落や欧米株安を嫌気して、9月利上げの思惑はやや後退した。今週発表の米経済指標では、8月消費者信頼感指数(25日)と4-6月期国内総生産(GDP)改定値(27日)が材料視されそうだ。これらの有力経済指標内容を見極める展開となる。

 19日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)から利上げ時期が9月から後退するとの見方が強まったものの、経済指標から早期開始を裏付ける強い内容であれば、再び9月利上げへの期待感が高まり、124円台に反発する可能性がある。

 市場関係者の多くは依然として中国人民元相場の動向を注目している。人民元相場が安定的に推移すれば、中国株式相場の安定が期待できることで米9月利上げへの支援材料となりそうだが、ドル高・人民元安が再び進行した場合、9月利上げへの期待はさらに後退し、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。

【ジャクソンホールシンポジウム】(27日-29日)
 米カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムが、ワイオミング州のジャクソンホールで27-29日の日程で開催される。今回のテーマは「Inflation Dynamics and Monetary Policy(インフレ力学と金融政策)」となっている。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は欠席予定だが、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの一部は出席する予定となっており、金融政策や経済などについての彼等の発言が注目される。9月利上げ観測はやや後退しているが、利上げについて前向きな発言を聞くことができれば、ドル買いに振れやすい見通し。

【米国経済指標】(25日:8月消費者信頼感指数、27日:4-6月期国内総生産改定値)
 9月利上げ期待は後退したが、米経済指標の内容次第では、利上げを強く後押しする可能性がある。

・8月消費者信頼感指数:市場予想は93.0で7月実績との比較で改善する見込み。予想通りならば、ドル買い材料とみなされる可能性がある。

・4-6月期国内総生産(GDP)改定値:市場予想は前期比年率+3.2%で速報値+2.3%から上方修正される見込み。3%台の経済成長ならば、7-9月期も一定水準の経済成長が期待できるとみられており、9月利上げに対する支援材料となる。

 8月24日-28日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)7月新築住宅販売件数 25日(火)午後11時発表予定
・予想は、51.1万戸
 参考となる6月実績は48.2万戸で市場予想を下回る結果となった。7月については、6月に減少した反動でやや増加する見込み。住宅市場は全般的に順調であることから、6月実績を下回る可能性は低いとみられる。

○(米)7月耐久財受注 26日(水)午後9時30分発表予定
・予想は、前月比-0.4%
 参考となる6月実績は、前月比+3.4%で市場予想をやや上回った。輸送関連やコンピューター関連の受注が増加した。7月については6月に増加した反動で前月比マイナスとなる可能性があるが、輸送用機器を除く受注はやや増加する見込み。

○(米)4-6月期国内総生産(GDP)改定値 27日(木)午後9時30分発表予定
・予想は、前期比年率+3.2%
 速報値から大幅に上方修正される可能性がある。速報値では個人消費が+2.9%のやや高い伸びを記録した。住宅建設や輸出もまずまず順調だった。改定値では複数の項目が上方修正される可能性があり、経済成長率は3%台に修正される可能性がある。

○(日)7月全国消費者物価コア指数 28日(金)午前8時30分発表予定
・予想は、前年比-0.2%
 先行指標となる7月の東京都区部消費者物価コア指数は、前年比-0.1%。参考となる6月の全国消費者物価コア指数は前年比+0.1%。7月については、エネルギー価格が低下していることやコスト増による価格転嫁などの動きが特にみられないことから、コアの物価指数は前年比マイナスとなる見込み。

○日米の主な経済指標の発表予定は、25日(火):(米)6月S&P/ケースシラー総合20都市、27日(木):(米)7月中古住宅販売仮契約、28日(金):(日)7月完全失業率、(米)7月個人所得・個人支出、(米)7月PCEコア価格指数

【予想レンジ】
・米ドル/円:122円00銭-125円00銭

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン