芸能

猫侍 猫の名演技と脚本務めた北村一輝の情熱が面白さの秘密

北村と猫の息がピッタリ(『猫侍 南の島へ行く』公式HPより)

 北村一輝演じる侍・斑目久太郎と白猫・玉之丞のコンビで評判の癒やし系動物時代劇『猫侍』。北村自身、「とんでもなくゆるい映画になっている」と語るこの作品は、テレビ&映画で人気を呼んでいる人気シリーズだ。第二弾公開直前、コラムニストのペリー荻野さんが面白さの秘密について綴る。

 * * *
 そんなわけで劇場版第二弾が9月5日に公開される『猫侍』。正式タイトルは『猫侍 南の島へ行く』である。キーワードは、バナナに謎の部族にパイレーツ…って、何っ!? 時代劇なんですけど一応?

 そもそも『猫侍』は、2013年にテレビ神奈川など各局で放送されたテレビシリーズ。家族を故郷に置いて江戸で職探しをする剣豪班目久太郎(北村一輝)が、暗殺するはずだった白猫玉之丞の可愛さに思わず、自分の長屋に連れ帰ってしまい、さまざまな騒動に巻き込まれるというお話。

 眉間にしわを寄せ、眉毛をつり上げた怖い侍が、「猫に気を許すとは」と言いながらも、ざるに丸まった猫を見つめて、ついついほわわんと癒されてしまう。独特のゆるい面白さで、北村一輝ファンはもとより、時代劇好き、猫好きを巻き込んで人気が上昇。江戸で猫派と犬派が対決するという信じがたい展開の劇場版第一弾も興行収入2億1000万円を記録するヒット作となったのだ。ここで気になるのは、手元にある公式リリースのこの言葉「これまでの動物映画の常識を覆した『動物+時代劇』企画」なるほど、これはジャンル的には動物映画だったんですね。侍の立場は…。

 先日、劇場版第二弾の詳細をチェックしてきた。仕事探しのため、土佐へ向かった久太郎と玉之丞。だが、謎の忍者に妨害されて、定期船に乗り損ね、仕方なく小舟で漕ぎ出す。嵐に巻き込まれ、クジラに飲み込まれた挙句に島に漂着。トロピカルムード満点の島では、謎の部族が白猫を神と崇めていた。そこに宝を狙う海賊が。でも、海賊が「北村一輝が好きで下心いっぱいの」LiLiCoって!

 まるでおとぎ話だが、興味深いのは、この作品の原案・脚本を北村一輝自身がしていること。もはや演技だけではおさまらない。『猫侍』への情熱はただならぬものがあるのだ。ひとりだったはずの忍者が何十人にも増えて見える忍術を使われて危機一髪の瞬間、「心の目で見よう」と目をつぶって刀を振るうものの、当然ながら、何も見えず的を外して焦る久太郎。足元では玉之丞がなんでもないように忍者の足のにおいをかいでいる。怖い顔のままカックンとなるシーンを演じ続ける北村一輝は、やっぱり面白い。

 新作でも猫の名演技が炸裂。久太郎のひざでまったりしたり、にゃーと鳴いたり、なんと島の黒猫と恋に落ちる?微妙なしっぽの動きまでしてのける玉之丞は、演技に磨きがかかっているとしか思えない。確かに前シーズンに写真集がベストセラーになった玉之丞役は、若手のさくらとベテランあなご、二匹の白猫が演じ分けているのだが、あなご(17歳)は、アフラックや花王トイレマジックリンなどのCM、大河ドラマ『平清盛』にも出演歴のある日本を代表する女優猫なのだ。

 そして、最後にびっくりしたのは映画の主題歌。これまた日本を代表するベテラン歌手が、自らの大ヒット曲を♪にゃ~にゃ~にゃにゃにゃ~と「猫侍バージョン」で熱唱するのである。しかも、思いっきりフルコーラス。オレの名曲がすっかり猫テイストになってもいい。そう思わせる何かが、このシリーズにはある。恐るべし、『猫侍』。

関連記事

トピックス

お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」とは
《「ととのった〜!」誕生秘話》『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン