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親と同居の壮年未婚者の失業率は平均の2倍 親子共倒れ増へ

 8月30日にオンエアされたNHKスペシャル『老人漂流社会 親子共倒れを防げ』は、80歳の父と45歳息子の経済的に厳しい2人暮らしの様子を描き、大反響を呼んだ。

 総務省統計研修所が行なった調査によれば、「親と同居の壮年未婚者(35~44歳の未婚者)」は2012年の段階で305万人、同世代に占める割合は16.1%にのぼる。2003年は191万人(11.7%)、2007年は262万人(14.8%)だったから、実数、割合ともに激増している。調査を担当した総務省統計研修所研究官の西文彦氏がいう。
 
「親と同居の壮年未婚者の失業率は、同世代平均の約2倍。失業者以外にもニートや臨時雇用・日雇いの人など経済的に親に依存している人が70万人いるといわれています。親の高齢化に伴って今後5~10年で親子共倒れはさらに増加することが予想されます」
 
「親と同居の壮年未婚者」は親が団塊世代、子供が団塊ジュニア世代にあたる。共に人数の多いこの年代で“親子共倒れ”が増えることは、極めて深刻な事態だ。
 
 本誌が取材した中には、こんな事例もあった。42歳になる息子は工場で非正規社員として働き、他のバイトをかけもちして1人で生計を立てていたが、仕事が減ったために実家に戻ってきた。だが、田舎ではさらに仕事がない。数年前まで夫婦で町工場を営んでいた両親の収入は、二人合わせて国民年金の月6万円だけ。町工場の経営が順調でなく、毎月の年金保険料を支払う余裕がなかったからだ。
 
 親子3人が月6万円で生活していけるはずもない。わずかばかりの貯金は目減りする一方で、もう後がない。食事を1日に1食か2食に減らし、家族3人、自宅でじっと息を潜める生活を続けていた。見かねた知人から相談を受けた自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連氏が語る。
 
「親子で生活保護を受けることを勧め、3人で計20万円近くを受給できるようになり、なんとか危機を乗り切ることができました。すると事態が好転、ほどなくして息子さんに仕事が見つかり、派遣ではあるものの週に4日は働けるようになりました」
 
 サポートによって生活保護を受けられるようになったこの親子は、非常に幸運だったといえるだろう。

※週刊ポスト2015年9月18日号

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