国際情報

台湾の蒋介石総統の妻・宋美齢氏の米旧居 1000万ドルで売却

 台湾の蒋介石総統の妻で、中国近代史に大きな影響を与えた宋美齢が1975年から1995年までの20年間、生活を過ごした米ロングアイランド島の豪邸が今年7月、売りに出され、すでに1000万ドル以上の値で買い取られていたことが分かった。

 豪邸は宋美齢記念館として改装されるとの話もあったが、結局、基金が集まらず途中で立ち消えになった。宋美齢が2003年10月に死去して、すでに12年。蒋介石、孫文、孔祥熙の妻となった宋ファミリーの3姉妹の記憶もすでに風化しつつあるようだ。台湾各紙が報じた。

 宋ファミリーの3姉妹とは、財閥で国民政府財政部長(閣僚)を務めた孔祥熙の夫人の宋靄齢と、孫文夫人で二女の宋慶齢、それに三女の宋美齢。このなかでも、宋美齢は蒋介石夫人として、国民党政権時代やその後の台湾政治にも強い発言力を有した。

 しかし、1975年に蒋介石が死去すると、その後継者として、蒋介石の前妻との子である蒋経国が総統の座につくと、宋美齢は台湾を去り、米国に移住。ロングアイランドの孔祥熙の豪邸で生活をするようになった。

 この豪邸は敷地面積が約15万平方メートル、廷内にはベッドルーム9室、トイレも9室。ゴルフ場のほか、サウナやジム、プール、映画鑑賞室などが完備。

 今年7月、1180万ドル(約14億4000万円)で売りに出され、8月中に売買契約がまとまったが、その額は明らかにされていない。

 宋美齢が1995年にニューヨークに移り、2003年に死去したあと、一時、ロングアイランドの豪邸を宋美齢記念館あるいは宋ファミリーに関する展示館にするとの情報もあったが、資金が集まらず、豪邸を手放することになったという。

 一時は大きな権勢を振るった宋美齢や宋靄齢だが、台湾でも忘れられた存在となっており、二女の宋慶齢は1949年の中国共産党政権成立後、中国人民政治協商会議(政協)副主席として、来るべき中台統一の象徴的存在として祭り上げられ、政治的な影響力はほとんどないまま、1981年に死去。一時代を風靡した「宋氏(家)3姉妹」の記憶は中国大陸、台湾ともにほとんど残っていないようだ。

(文中一部敬称略)

関連キーワード

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン