スポーツ

助っ人意識だった外国出身ラグビー代表 今は意識が全然違う

 ラグビーW杯で日本が優勝候補の南アフリカを破ったことで、ラグビー日本代表への注目が高まっている。現在の日本代表は31人中10人が外国出身者。これは世界的に見ても高比率で、例えばイングランドでは3人、ニュージーランドでは5人だ。そのような日本の“外国人部隊”は、かつて世界から批判の槍玉に挙げられたことがある。「チェリー・ブラックス事件」だ。

 1999年のパシフィックリム選手権で、平尾誠二監督率いる日本代表「チェリー・ブロッサムズ」にはニュージーランド代表「オール・ブラックス」のスター選手2人を含む同国出身選手が5人いた。日本はカナダなどの強豪国を破ったが、ニュージーランド選手の多さから海外メディアに「チェリー・ブラックス」と揶揄され、批判されたのだ。

 確かに批判されても仕方ない側面はあった。当初、外国人選手は“助っ人”に過ぎなかったからだ。日本は彼らの力がないと世界と戦えない。一方の外国人たちは「強豪国ではW杯に出られないが、日本でなら出られる」という個人的理由で日本にきた選手も少なくなかった。日本人と馴染もうとせず、チームとしてまとまりに欠けていたという指摘もある。

 だが今の日本代表は違う。例えばトンガ出身のアマナキ・マフィや、サモアのマレ・サウは祖国の代表の勧誘を断わって日本を選択した。主将を務めるリーチマイケルをはじめ10人中5人が、すでに日本に帰化している。

 ニュージーランド出身で今回の南ア戦で逆転トライを決めたカーン・ヘスケスは、セレモニーで「君が代」を一際大声で熱唱していた。その姿は、誰よりも日本人だった。

「外国人選手でも一緒にスクラムを組めばフォア・ザ・チーム。そこが野球やサッカーとは違う」(元ラグビー日本代表の大八木淳史氏)

 ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの精神。みなが支え合って日の丸のために戦った。でなければ勝てなかった。そこに肌の色や国籍など意味はない。南ア戦で日本代表の1試合最多得点24得点をマークしたフルバック五郎丸歩が試合後にツイッターで呟いたこの言葉が、それを物語っている。

〈ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ。〉

※週刊ポスト2015年10月9日号

関連キーワード

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン