ああ、なんて気疲れしそうな状況でしょう。アメリカ人っぽいシンプルでカラッとしたメンタリティだと、いろんな顔文字が使えたらそりゃ便利じゃないかと素直に喜べるのかもしれません。しかし、日本人っぽい気遣いや邪推が得意なメンタリティだと、ものすごく面倒に感じて、フェイスブックが嫌になってしまいそうです。円滑なコミュニケーションを取る上で雄弁さは必ずしも必要ではない――。新機能の登場は、人間関係における大切な真理を教えてくれました。
とはいえ、導入されてしまったら使わざるをえません。意地を張って、今までどおり「いいね!」だけで押し通そうとしても、それはそれで「人が悲しんでいるのに『いいね!』とは何だ! いろんな顔文字もあるのに!」といった調子で無用の怒りを買いそうです。
こうなったら今のうちに、導入される顔文字を体感して慣れ親しんでおくといいかも。実生活の中で折に触れて、計7種類の表現方法を繰り出し続ければ、フェイスブック上でも抵抗なく使えるはず。「いいね!」とハートマークは指で表現するとして、5つの顔文字に近い表情を鏡の前で練習します。悲しい表情のときは口でも「Sad……」と呟くなど、言葉もセットにするとさらに深くマスターできるでしょう。
なんてことを続けているうちに、アメリカ人っぽいメンタリティが身について、細かいことをグチグチ考えなくなるかも。少なくとも喜怒哀楽がわかりやすい人になって、周囲のあなたを見る目が変わるのは確実です。面の皮が厚くなればなるほど、フェイスブック向きの人格になれるでしょう。面の皮は何枚も重ねて、めくってもめくっても次のページが出てくるぐらいが理想的。「顔(フェイス)本(ブック)」だけに。……Sad。