舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー役を務める稲垣吾郎
開演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でのハリー・ポッター役が話題となっている稲垣吾郎(51才)。その稲垣の魅力と知られざるエピソードについて、稲垣の取材を長年続ける放送作家でコラムニストの山田美保子さんが解説する。
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総観客数120万人突破、公演回数1200回達成。今年でロングラン4年目を迎え、10月までのチケットを販売中…と言えば、ハリー・ポッター、19年後のストーリーを舞台で表現した『ハリー・ポッターと呪いの子』だ。
同作の最大の魅力は、世界のエンターテインメントを牽引する一流どころのスタッフが知恵とテクニックを結集して創り上げたハリー・ポッターの世界観を間近で体感できること。原作ファンはもちろん、それ以外の人たちをも心躍る音楽や舞台美術、衣装などハリー・ポッターの世界へ迷いこんだような空間に誘うのである。
今回、出演する新キャストの中で、もっともメディアに登場し、PRを担っているのはハリー・ポッター役の稲垣吾郎だ。
7月19日には『人生最高レストラン』に。7月20日には『稲垣吾郎がハリー・ポッターになる日~ロンドン魔法旅に密着~』(共にTBS系)でロンドン公演のキャストやスタッフ、シリーズの翻訳家らと対談していた。
いつまでも変わらない
その『人生最高~』でMCの加藤浩次が改めて驚いたのは「変わらないね~」という稲垣のルックス。それは長年取材をし続けている筆者も心から同感することだし、仕事で関わるテレビマンや舞台のプロデューサーらからも同様のコメントがしばしば聞かれる。
その“変わらなさ”についてさらに踏み込んだ発言をしたのは、7月期の連続ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ・フジテレビ系)に主演している磯村勇斗である。稲垣にとっては約9年ぶりとなる民放連ドラ出演作いうことでも話題だが、『ハリー~』の稽古で多忙な稲垣は“ぼくほし”の番宣にはほとんど関われていない。
代わって、堀田真由と共に“電波ジャック”を始め、トークバラエティに出まくっている磯村は、初回放送日の『ぽかぽか』(フジテレビ系)で稲垣についての印象を聞かれ、「たぶん人間じゃなくてバンパイア」と答えたのだ。
「小さい頃から稲垣さんを観ていたので、そのイメージがあって、いざお会いしたら、その当時と全然変わってないんですよ。いや、なんか血でも吸ってるんじゃないかって」と続けた。
でも、「気さくにお話をしてくださって、ミステリアスで知的なイメージもあって寡黙な方かなと思ったんですけれども、意外とお話をしてくださって。この間、他のキャストさんでNGがあったときに涙を流しながら笑っている稲垣さんを見たときに、こういう風に笑うんだ、吾郎さんって……。人間かもしれないって……」と現場での稲垣の様子を語ったのである。
「吾郎ちゃんは、けっこう喋る」「喋ると面白い」「今、SMAPの中でいちばん面白いのは稲垣吾郎かも……」というのは、SMAPが解散する数年前頃から我々放送作家の間で言われていたことだ。
近年はさらに磨きがかかったようにも思う。稲垣によれば、「5人時代は、黙っていても他に喋ってくれる人が居たので(話す必要がなかった)」と言うのだが、2019年の秋から月曜と火曜の2曜日、パーソナリティを務めている『THE TRAD』(TOKYO FM)の存在も大きいと思われる。
新型コロナウィルス禍にはゲストとズームや電話で話すことも少なくなかった同番組は、稲垣にとって「本当に助けられた」存在。人と人とのコミュニケーションが絶たれたコロナ禍において、毎日誰かと話せる機会があったことは彼にとって宝物だったようだ。