スポーツ

星野仙一氏の阪神監督就任時 当初のプランは仰木彬氏だった

 今も昔も阪神ファンは弱い阪神、いわゆる「ダメ虎」も見放さず、厳しい言葉を投げかけながら応援を続ける。だが、さすがに心が折れそうになった時代がある。1987~2002年、俗に「暗黒時代」と呼ばれる阪神の低迷期だ。藤田平監督時代の1996年に球団常務となった野崎勝義氏(元球団社長)が当時を述懐する。

 * * *
 実は当初、久万(俊二郎)オーナーは球団経営に乗り気ではなかった。「タイガースは年商100億円もないちっちゃい会社や。電鉄は3000億円や。強い弱いで騒がんでええ」と。ところが藤田監督時代に28年ぶりに赤字に突入して、「えらいこっちゃ」とようやく本気で動き始めたのです。

 そんな折、オーナーと旧知のスポーツ紙の記者がノムさん(野村克也)の話を持ち込んできた。マスコミが人事に介入する阪神らしい話です。契約最終年とはいえ、ノムさんは当時ヤクルトの現職監督。にわかには信じられなかったが、球団の頭上を越えてなんとか契約が成立した。その契約金と年俸の契約書を見て「私(オーナー)が何人雇えるんや」と、久万さんの承諾の印鑑を持つ手が一瞬止まったのは有名な話です(笑い)。

 しかし野村ID野球をもってしても阪神は勝てなかった。そして2001年12月、夫人のスキャンダルから野村監督は辞任する。

 マスコミに叩かれる4年連続最下位球団の監督候補などなかなか見つかりません。そんな中、中日の監督を辞めたばかりの星野(仙一)さんが「火中の栗を拾う」といってくれた。その話もスポーツ紙の記者からオーナーに持ち込まれたもの。当時球団社長になっていた私は、当初は仰木彬さんを招聘しようと動いていましたが、オーナーの決断で星野さんになった。

 星野監督は2年で優勝という最高の結果を出してくれた。でもノムさんもチームに変化をもたらしてくれたと思っています。成績は急激に上向くことはなかったが、多くの課題をいただいた。その上に星野監督の、OB監督にはない強いリーダーシップが発揮されて、立ち直れたと思っています。

 タイガースのような生温い組織が純潔主義では、ますますぬるま湯体質になってしまう。外部の血を入れたことは間違いなかったと思っています。

※週刊ポスト2015年10月16・23日号

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン