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高齢者が孫の世話押しつけられ疲れる「孫疲れ」が密かに蔓延

「6歳と4歳の二人の孫がいて、今までは年2回、うちに来て1週間くらい過ごしていたんだけど、次からは年1回、3日程度にしてくれって息子夫婦に頼んだ。去年のお盆に孫たちが来た後、妻が食事作りもままならないくらいへとへとになって、私も3日ぐらい体が動かなくなってしまったから」(元会社員男性71歳)

 少子化が進む昨今、「孫がいる」というだけでうらやましがられ、「孫をかわいがるのが当たり前」という風潮さえ生まれている。しかし、その陰で高齢者の間では、孫の世話を押しつけられ、疲れ切ってしまう「孫疲れ」が密かに蔓延している。家族問題評論家の宮本まき子氏はいう。

「『孫疲れ』の高齢者が増えています。理由は子供世代の晩婚化で、今は60代で定年退職した後に孫ができることが多い。祖父母は仕事を理由にして孫の世話を断わることができず、体力的にも衰えている。活発に走り回る小さな子供の世話で、腰椎すべり症や高血圧などになりドクターストップがかかるケースもあります。特に、団塊世代の男性はあやし方もオムツの交換も知らなかったりするので、ストレスを抱えてしまう」

 孫がかわいいか、かわいくないかといえば、かわいいに決まっているし、できれば面倒を見たい。だが、残念ながら高齢者にはそのための体力と気力が足りなくなっている。元会社員男性(65歳)は毎日の日課をこう話す。

「都内に二世帯住宅で、息子夫婦と4歳の孫と暮らしていますが、毎朝、毎晩、車で嫁を隣県にある会社へ、孫を保育園へ、送り迎えをしています。1往復で2時間以上はかかるので、2往復で1日が終わる。孫が小学生になるまでの辛抱だと耐えています」

 孫が小学校に上がるより先に、本人が倒れてしまわないか心配になる。66歳の元会社員男性が耐えているのは、意外にも「孫とのおしゃべり」だ。

「6歳の孫(女児)がうちに入り浸っているんですが、この子は『口から生まれたんじゃないか?』って思うくらいのおしゃべり。適当に相づちを打っていると、『今の話聞いてた? じゃあ、友達の名前をいってみて』と問い詰められてパニックになる。登場人物もエピソードも多くてとても頭がついていかない」

※週刊ポスト2015年10月30日号

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