ワースト2位の青森県も「何にでも醤油をかける濃い味付け」(青森県民)の料理が多くの家庭の食卓に並ぶ。
そのため青森県では3年前から、朝の出勤時間帯や土日のゴールデンタイムに脳卒中の症状を啓蒙し、早期の受診を呼びかけるテレビCMを放映する、全国でも異例の対策が進行中だ。
ただし長年慣れ親しんだ「おふくろの味」と訣別するのは容易ではない。健康のためとはいえ、食生活を一朝にしてガラリと変えるのが困難なことを証明したのがワースト3位の秋田県のケースだ。
雪が降り積もる冬になると「ハタハタの塩漬けや漬物など、塩辛くて濃い味の保存食の消費が増える」(県健康推進課)ため、秋田県も高血圧の男性が多い。
そんな秋田県に昨年末、“塩分を抑えた低カロリーの健康定食を出す食堂”として話題になった「タニタ食堂」を運営するタニタが、「あきたタニタ食堂」をオープン。大きな話題となり、秋田市内の店舗には多くの客が訪れた。
だが、日替わり定食の計200食が完売するなど盛況だったのは開店後のわずか2か月ほどだったという。
「今年の3月頃から次第に空席が目立つようになりました。最初は物珍しさで足を運んだものの『薄味で口に合わない』と、足が遠のく市民が増えていった」(秋田市民)
※週刊ポスト2015年11月6日号