ツイッターでセレブ生活をアピールし、約1万5000人ものフォロワーがいた「ばびろんまつこ」こと、松永かなえ容疑者(26才)が10月28日、京都府警に詐欺と商標法違反で逮捕された。
容疑は今年5月、カルティエの偽ブレスレットをネットオークションに出品し、京都市内の40代女性に約65万円で販売したというもの。捜査関係者は、被害総額は1000万円以上に膨らむのではないかと睨んでいるという。
そんなばびろんまつこが生まれ育ったのは、長崎県北部に位置する人口2万3000人あまりの松浦市。ばびろんまつこは農家の4人きょうだいの長女として生まれた。中学時代の同級生が言う。
「学級委員だったけど“ガリ勉”という感じじゃなかった。市のソフトテニス大会のダブルスで優勝するぐらいスポーツもできたけど、どちらかというとお笑い系。美人でもかわいいタイプでもないし、彼氏がいたという話は聞いたことないな。でも、中学の頃からアイプチをして、目をぱっちりさせることに熱中していた。そういう意味では、モテたい願望も強かったのかな」
高校は松浦市から一山越えた、佐世保市の進学校に入学し、岡山大学法学部に進学した。成人式で帰省した時、地元の同級生たちは彼女の変化を感じたという。
「成人式の同窓会で会った時、“岡山で高級外車の赤いアルファロメオに乗っている”と自慢話をしていたから、“ずいぶん変わったなぁ”と思った。でも、その時の顔は昔の顔のまま。だから、逮捕されたというニュースを見て、本当にびっくりしましたよ。顔が全然違っていたから」(別の中学時代の同級生)
大学卒業後は地元の大企業である大手テレビ通販会社に就職した。「有名社長と同じようにテレビに出られると思っていたようだ」(前出の知人)というが、テレビ出演の夢かなわず、上京してIT企業に転職。それも数か月前に離職していて、逮捕時は無職だったという。
ばびろんまつこの虚飾の私生活はなぜ1万人以上のフォロワーに受けいれられたのか。
『自分のついた嘘を真実だと思い込む人』(朝日新書)の著書がある精神科医・片田珠美氏がこう分析する。
「嘘八百を並べ立てる人は昔から一定数いました。しかし、彼女らは限られたコミュニティーの中に生息していただけでした。それがツイッターなどのSNSの登場で状況が一変しました。
1つは、嘘にあたかも現実であるかのような具体性を持たせることができるようになったことです。写真さえあれば買ってもいないのに買ったように言えるし、補正すれば抜群のスタイルにも見せられる。別人の写真に修正を加えて、自分だと偽ることも可能です。
もう1つは不特定多数に発信できることです。嘘と現実を混同するためには、発言を信じてくれるイネイブラー(支え手)の存在が不可欠です。SNSによるイネイブラーの爆発的な増加が、ますます彼女らの虚実ないまぜに拍車をかけたのでしょう」
《嘘つき》という一般ネットユーザーからの指摘に、《はドラマのはじまり》と短くコメントしていた、ばびろんまつこ。やっぱりそれは《泥棒のはじまり》だった。
※女性セブン2015年11月26日号