もしも、治安当局が突入したというのであれば、アメリカならその映像をガンガン流すのに、今回はそれがないんですよ。このあたりが、もしかしたらフランスの脇の甘さなのかなとは思いますね。
日本でテロがないのは奇跡だと思いますよ。たしかに、日本の公安関係者がしっかり仕事をしているというのと、海に囲まれているので水際で(テロリストの侵入を)食い止めることができているのは間違いないんだけど、テロリストが本気で日本を標的にしようと思ったら、そう難しいことではないはず。それでもイスラム国が日本でテロをしないということは、ある意味奇跡であり、もしかしたら日本を敵に回したくないという気持ちがあるのかもしれない。
今のイスラム過激派は、必ずしも組織化されたテロリストではない。いわゆる「ムジャーヒディーン」と呼ばれる小規模の過激派たち、民兵たちが、それぞれ何かを起こそうとしている状態。
本来イスラム教は決して過激な宗教ではなく、むしろ寛容の宗教なんです。だから、イスラム国のテロは、イスラム教の精神とはかけ離れたものだと考えなければいけない。つまり、「イスラム原理主義者」というものはないんです。「イスラム教徒」を自称するテロリストがいるというだけなんですよ。一連のテロは、イスラム教徒によるもとということではなく、少数の過激派が巻き起こしたことだと思うべき。「原理主義者」のテロではなく、あくまでも「過激派」のテロなんです。
実際にイスラム教徒と接して話してみると、まったく好戦的ではなく、平和を愛する人々なんですよ。ただ、どんな組織でもそうだけど、時々跳ねっ返りが出てくる。それが今回のテロリストなのだと思う。気になるのは、テロリストは意外とアラブ人が少なくて、たとえばフランス国内のイスラム教徒が参加していたり、けっこう多国籍なんですよ。どこの場所でも妙な目立ちたがりな奴らがいるけど、そういう奴らがテロリストになっている傾向も少なからずあると思いますね。