10月31日、エジプト東部シャルムエルシェイクからロシアのサンクトペテルブルクに向かっていたロシアのコガリムアビア航空9268便(エアバスA321旅客機、乗客乗員224人)がエジプトのシナイ半島で墜落し、乗客乗員の全員が死亡した。本件に関しては、米欧政府が当初からテロであるという見方を示した。
もっともロシアのプーチン大統領が11月6日にロシアとエジプトを結ぶ全ての航空便を運航停止にしたことから判断して、すでに6日の時点ではテロ説に傾いていた。ロシアもコリガムアビア航空機の墜落がテロによるものであるという見方を16日にボロトニコフFSB(連邦保安庁)長官がプーチン大統領に対して正式に報告した。
〈プーチン氏は報告を受け、「地球上のどこからでも犯人を見つけ出し、罰する」と強調。シリアで実施している空爆作戦を「継続するだけでなく、犯人に罪から逃げられないと理解させるために強化する」と述べた。空爆の目的がテロとの戦いにあると国内外にアピールした格好だ。
プーチン氏は外務省に対し、犯人捜索のため各国と連携するよう求めた。対テロで国際的な協調を重視する姿勢を示す狙いがあるとみられる。ロシア旅客機は10月31日にエジプト北東部シナイ半島で墜落し、乗客乗員224人が死亡した。FSBは有力情報に5千万ドル(約61億円)の報奨金を出すと発表した。〉(11月17日「産経ニュース」)。
力によってテロを封じ込める必要があるというコンセンサスがロシア人の間で確立している。プーチン大統領のシリアへの軍事介入に対する支持が一層強まるものと見られる。
※SAPIO2016年1月号