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母の在宅介護で苦労した安藤和津 国や職場の支援必要性語る

 高齢化社会を迎えている日本。家族の介護に追われているという人も少なくないだろう。そして、家庭で介護をすることの大変さは、してみた人でないとわからない。エッセイストの安藤和津(67才)は、母が1998年に脳腫瘍と認知症と診断され、2006年に亡くなるまでの間、壮絶な介護の日々が続いた。

「夜は15分おきに起こされ、2時間おきにおむつを交換。母は大柄で70kg以上あったので、トイレの介護では支えきれずに肩を脱臼したことも。長引く介護生活でうつになってしまい、喜怒哀楽がなくなり、面白いテレビを見ても笑えない。毎日同じような黒い洋服を着て、料理もできなくなった時期もあったんです」(安藤)

 それでもなんとかハードな仕事を続け、子育ても介護もこなした。安藤の支えになったのは、夫で俳優の奥田瑛二(65才)だった。

「ウンチを漏らした母をトイレに運ぼうとしたとき、意識がもうろうとした母が私の上に倒れてしまいました。その時、偶然帰宅した奥田が『お母さん、ぼくならいいよね』と汚物まみれの母を抱え、手伝ってくれました。在宅介護は母にとってはベストの選択でしたが、そのつらさは想像を超えていました。家族の助けがなかったらどうなっていたかわからないし、この気持ちは経験されたかたでないとわからないと思います」

 安倍政権は、介護の人手不足と少子化問題の両方に対する政策として「三世代同居」を掲げている。これは、子を育てる親たちがその親世代と一緒に暮らすことを推奨する政策で、増築や購入の際に上限50万~100万円程度の補助金を出すなど、地方ではすでに独自の政策を行っている自治体もある。今回政府は、同居に必要な住まいの改修を行った場合、所得税や相続税を減額する方向で検討している。

「もちろん三世代同居は理想です。かつての日本では当たり前だったことですが、国がどれだけのサポートをしてくれるのか、また職場を含めて周囲の理解も必要です。介護する側、される側、どちらも在宅でよかったと最後に思えるには、まだまだ難しいのが現状だと思います」(安藤)

※女性セブン2015年12月17日号

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