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アマゾンが始めた「お坊さん便」 そのシステムと利用者の感想

amazonが開始した「お坊さん便」の勝算は?

 インターネット通販大手・amazonは、本や家電、食品などあらゆるものが買える便利サイトだ。12月8日、ついに「お坊さん」までがそのラインアップに加わり、ワンクリックで注文、「お布施」はクレジットカードで決済できるようになった──。

 その名称は「お坊さん便」。四十九日や一周忌といった法事(法要)の際に、読経を行なう僧侶の手配サービスだ。

 料金は、自宅など手配先への訪問のみなら3万5000円。自宅から墓地など手配先からの移動を含む場合は4万5000円。プラス2万円で戒名を授与するプランもあり、全国どこにでも手配が可能だという。

 法事や葬儀の際に僧侶に払う「お布施」は、金額が決まっているものではない。そんな中、2009年に流通大手のイオンが葬儀の仲介業を始め、お布施の目安を公開。これが人気を呼び、明朗会計を謳う仲介業者に対するニーズが拡大している。「お坊さん便」を運営する「みんれび」も、そんな仲介業者の一つだ。同社の取締役副社長・秋田将志氏がいう。

「都市部では菩提寺がなかったり、不明朗な料金体系に不安を抱く人が少なくありません。そうした声に応える形で金額を明示した『お坊さん便』を始めたのは2013年5月。現在は浄土真宗、曹洞宗、真言宗など7宗派、約400人のお坊さんを手配可能です。

 今回、amazonに出品したことで、より多くのニーズに応え、購入者がサイトに感想を書き込むレビュー(評価)によってサービスの向上を図っています」

 どうやって僧侶は“配送”されるのか。まずはamazonで商品を購入する。支払いはクレジットカードの他、コンビニ決済やネットバンキングなども利用可能。みんれびから確認のメールが送られ、日時や目的、宗派を返信すると、注文内容が書かれたチケットが郵送で届く。

 その後、僧侶本人から購入者に電話があり、待ち合わせ場所の確認、故人についてのヒアリングが行なわれる。そして当日、指定場所まで僧侶が来て、法事が執り行なわれる。お布施以外の車代や御膳料(食事代)なども料金に含まれており、追加料金は一切かからない。

 最近、「1時間配送」を始めたamazonだが、「お坊さん便」は事前打ち合わせなどが必要となるため、最短で2週間前からの購入となる。また初回は宗派の指定はできるが、僧侶の指名はできない。2回目の利用から僧侶の個人名で“注文”できる。「お坊さん便」を利用した神奈川県在住の男性(64歳)はこう語る。

「妻の一周忌で利用しました。初めて会った僧侶が妻を供養してくれたことに違和感はありませんでした。地方出身者で菩提寺がない、お坊さんとの個人的な付き合いもない人には、利用価値はあると思いました」

※週刊ポスト2015年12月25日号

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