夫婦別姓について、強固な反対論者たちは、「そんなものを許したら、自分本位で子育てをしない夫婦ばかり増えて、私が愛するこの国が滅びてしまう」くらいの妄想にとりつかれているように思える。
そんな人たち向けに、一つのデータを示しておきたい。内閣府が平成24年12月に実施した「家族の法制に関する世論調査」結果だ。全国20歳以上の日本国籍を有する5,000人に対し個別面接聴取法で行った本格的なもので、「選択的夫婦別氏制度」に対する意識調査の結果がこう出ている。
・「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり,現在の法律を改める必要はない」と答えた者36.4%
・「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と答えた者35.5%、
・「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」と答えた者24.0%
よく夫婦別姓の賛否が拮抗していると報じられるが、国の調査で賛意を示しているのは35.5%なのだ。そして、その35.5%に、〈希望すれば、夫婦がそれぞれの婚姻前の名字(姓)を名乗れるように法律が変わった場合、夫婦でそれぞれの婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望するか〉を聞いた結果はこうだ。
・「希望する」と答えた者23.5%
・「希望しない」と答えた者49.0%
・「どちらともいえない」と答えた者27.2%
つまり、選択的夫婦別姓制度を法制化しても、35.5%のうちの23.5%、8.3%しか夫婦別姓を希望しない。その程度の少数派の生き方にも自由を与えられないほど日本は狭量か。我々はもっと寛容な国の民であると私は思う。