国際情報

企業にとってはフィリピンとメキシコの地道な市場開拓が活路

フィリピンの成長を取り込むべき(アキノ大統領) AP/AFLO

 中国経済の減速が明らかになっているが、いま世界で注目すべき新興国はどこか。大前研一氏は2つの国をあげた。

 * * *
 新興国の中で、もしかすると一歩抜け出す可能性があるのはフィリピンとメキシコだ。フィリピンの資源は、インドと同じく優秀な人材である。とくにIT関連はASEANの中ではダントツだ。経理も強い。アジア最大の会計事務所はフィリピンにあり、インドネシアやマレーシアなどの企業の多くはフィリピンの会計事務所を使っている。

 しかも英語力のレベルが非常に高く、海外への出稼ぎが“最大の産業”だから世界中のノウハウを持っている。国民の平均年齢が23歳で、労働力が経済成長を押し上げる「人口ボーナス」も大きい。

 フィリピンは、優れた大統領でも「1期6年で再選なし」という制度になっている。それを改革し、かつてのラモス大統領や現在のアキノ大統領のように優れた治世をした場合は、2期12年に延ばす方法を考えるべきだ。加えて旧態依然の荘園制度を廃止して農地解放を行えば、次のフェーズにステップアップできると思う。

 メキシコは、これまで韓国と同じく中進国のジレンマ(成長に伴って賃金が上昇し競争力を失い先進国に届かない現象)に陥っていたが、今は自動車大国になりつつある。アメリカや日本の自動車産業が、いくつかの州に続々と進出しているのだ。それをテコにして、中進国のジレンマから抜け出せるかもしれない。

 メキシコの人口は1億2200万人余で日本に匹敵し、フィリピンの人口も1億人を超えている。少子化・高齢化が進む日本国内に、もはや成長機会はない。となれば、日本企業はメキシコとフィリピンを第2、第3の日本と思って現地に腰を据え、地道に市場を開拓していくべきだろう。それができれば、企業にとっては中国経済大減速の後遺症を克服する有効な手立てになると思う。

※SAPIO2016年1月号

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン