国際情報

中国 高濃度のPM2.5による視界不良で迷子になる人まで出た

 中国における大気汚染の深刻度は高まる一方だ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 かつて深刻化する「PM2.5」汚染の問題を報じたメディアのなかに、「自分が散歩で連れていた犬の姿が見えなくなった」と語る住民の声が紹介されていて、さすがに白髪三千丈の国だと感心させられたことがあったが、今回紹介するのは、そんな話ももはや笑い話ではないという話題だ。

 報じたのは「安徽網」(2015年12月13日)で、記事のタイトルは、

〈安徽省の女性、高濃度のPM2.5のなか親戚の家を訪ねて迷子となり失踪 24時間後に警察が出動 2時間の捜索を経てやっと見つかる〉

 というものだった。

 12月7日、安徽省馬鞍市博望区の農民夫婦の妻がその被害者ということだが、自分の家が分からなくなるというのも驚きの話だ。事の顛末は要するに、視界が悪いなかで川に落ち、そのまま動けなくなってしまったということらしいのだが、こういう話題が北京以外の土地でも話題になるのは、それだけメディアの関心が高いことを意味しているのだろう。

 同じように国内で大きな話題をさらった「PM2.5」関連のニュースは、やはり北京ではなく江蘇省の張家港市であった。

 人民日報傘下の都市報である『京華時報』(2015-12-14)が報じた記事で、タイトルは、〈PM2.5問題で江蘇省のレストランが”空気清浄費”を徴収〉だった。

 問題が発覚したきっかけは、張家港市物価局に市民から寄せられた”挙報(密告)”だった。その内容は、あるレストランに行ったらそこで「1人1元の空気清浄費」を取られたというものだ。あたかも行政の都合のように書かれた張り紙もあったという。

 このニュースが意味しているのは中国人の強かさなのだろうか。

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