国内

東京板橋の「縁切榎」 全国の女性が絵馬に怨念刻むため参拝

 高さ2mの小さな鳥居をくぐると、掛所に結ばれた絵馬が風に揺れている。《夫の親族がこの世から消えますように》《義母が一日も早く死にますように》《姑の心臓の手術が失敗しますように》。

 隙間なく並ぶ数百枚の絵馬に刻まれていたのは、どれも人の怨念だった。「悪縁を断ち切る」といわれる榎の古木がそびえるこの神社は、東京・板橋の『縁切榎』。江戸時代より難病回復や良縁を願う人々の信仰を集めた地が今、人の業の深さをまざまざと見せつける。

「ここ数年、参拝客が急増しています。ネットで“縁切り神社”とかって有名になっちゃったみたいで。早朝か深夜か、人目につかない時間に来て、絵馬を結んでいくんです。ほとんど女性ですね。全国から来ています。本当は良縁祈願の神社なんだけど、時代の流れかねぇ…」(近隣住人)

 現在、日本では65才以上の人口が3400万人。超高齢化社会の中で嫁姑関係に疲れ果てる女性は絶えない。

《放火殺人で62歳女性逮捕。同居の義母死亡》(11月 福島県南相馬市)
《「暴言悩んでいた」義母刺殺の61歳女性逮捕》(8月 北海道小樽市)

 新聞には、一線を越えた嫁の罪過がたびたび載る。神社に救いを求める者がいれば、抱えきれぬ憎悪を新聞で吐露する者もいる。10月末、毎日新聞の「女の気持ち」に掲載された一通の投書が話題を呼んだ。

《「また並び(同性)かい。私と違って産み分けもできないんだから」。こんな嫌みはほんのあいさつ。私は、嫁に来て34年間いじめられ通しで、義母は私をいびるのが生きがいのようだ。

 風邪を引けば嫌み。いつも自分が正しい。少しでも抵抗すれば容赦ない嫌がらせ。夫に愚痴を言うと「女房の代わりはいるが親の代わりはいない」と突き放された。つらい。耐えきれなくなった心と体は32才で壊れた。自律神経失調症。まだ治らない。

 義母が自分のせいだと思うわけもなく、「全く体が弱い」「病気は気の持ちようだ」とまた嫌み(中略)。普通ではない。狂っている。(中略)もう朝の4時。“悪魔”が動き出す》

 埼玉県熊谷市の主婦(55才)から届いた声だった。読者から共感を呼び、励ましの投書が殺到した。

※女性セブン2016年1月7・14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

5月8日、報道を受けて、取材に応じる日本維新の会の中条きよし参議院議員(時事通信フォト)
「高利貸し」疑惑に反論の中条きよし議員 「金利60%で1000万円」契約書が物語る“義理人情”とは思えない貸し付けの実態
NEWSポストセブン
殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン